中島厚志が読み解く「激動の経済」

2012年7月27日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

経済産業研究所理事長

1952年生まれ。東京都出身。東大法学部卒業後、75年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。パリ興銀社長、日本興業銀行調査部長、みずほ総合研究所専務執行役員チーフエコノミストなどを経て現職。著書に『統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『日本の突破口―経済停滞の原因は国民意識にあり』『世界経済連鎖する危機―「金融危機」「世界同時不況」の行方を読む』(東洋経済新報社)など。

際立つ円の独歩高

 緊迫したスペイン経済金融情勢を受けて、足元再び円高基調が強まっている。ここ数カ月で見ても、主要通貨では円だけが通貨高に動いており、それ以外の主要通貨が総じて対ドルで下落している中では、円の独歩高は際立っている(図表1)。

(図表1)主要通貨の対ドル変化率
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 今回の円高で気がかりなのは、通貨安となっている主要国の多くが貿易黒字国・地域であることだ。図表1で示した国々・地域で見ても、唯一の通貨高国日本が貿易赤字であるのにたいして、通貨安の14か国・地域のうち貿易黒字国・地域は9もある。

 足元の為替相場変動の背景には、資金がリスクを避けて相対的に安全と目される円やドルなどに逃避していることがある。しかし、世界経済の減速などで主要国の金利水準も歴史的な水準にまで低下しており、このままでは2010年秋のような通貨安競争が再燃しかねない。

主要国の低金利は歴史的水準

 2010年秋にかけての通貨安競争は、アメリカの景気下支えのための積極的な量的金融緩和策がドル安を招いたことがひとつの要因だった。足元の円高は欧州債務危機の深刻化が背景だが、主要国の景気対策としての金融緩和策がさらに世界的な通貨安・通貨高の動きを加速させる可能性がある。

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