世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年8月8日

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 中国軍の戦闘能力は、米国のそれに匹敵するには到底いたっていないが、日本、ASEAN諸国を含むアジア諸国と比較すれば、はるかに高い能力を有しており、したがって、地域の覇権を握ることはさほど困難ではないだろうと、7月2日付WSJにおいて、米AEI日本研究部長のオースリンが論述しています。

 すなわち、人民解放軍の能力を「張子の龍」と見る見方があるが、この見方は実体の一面のみしか見ていない。

 1950年代以降の陸軍中心の時代から各分野の軍備増強が図られ、いまや、中国は量的には明らかに世界第2位の軍事力を持つ。

 海軍は、アフリカでの海賊対策の国際活動に参加し、南シナ海、東シナ海では、種々のパトロール活動を行っている。70隻の潜水艦を持ち、初の空母の試験就航を行なった。海軍力による外洋への進出(Blue-Water Navy)を目指している。

 空軍も近代化しつつあり、第4世代の戦闘機を導入し、複雑な作戦訓練を徐々に増加しつつある。陸軍と海軍の共同作戦を行い、南シナ海の係争地のほぼ全域に到達可能である。対艦ミサイル弾道弾DF-21はアメリカの空母を標的にすることが出来る。

 他方、中国の軍事力の量や表向きの軍近代化の反面、その質はどうかという議論がある。

 実際、中国の軍事システムは非公開であるため、不明なことが多いが、弱体な点を持つことも知られている。つまり、初歩的なダメージ・コントロール・システムが不備であること、武器弾薬の貯蔵能力に問題があること、軍の精神・気質にも問題がありそうな点などだ。もし、中国軍がかつてのソ連軍のように、柔軟性を欠き、司令官がイニシアティブをとることが出来ないようであれば、それは大きな弱点となろう。

 ただし、これらの点を過大視するのは間違いであろう。全体として、中国の軍事力が米国に匹敵するまでになるには、相当な時間を要するだろうが、中国が地域の覇権を握るだけの軍事的能力に欠けているということにはならない。日本を含むアジア諸国の軍事力に比較すれば、中国軍の能力ははるかに高いレベルにある。

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