2024年5月19日(日)

Wedge REPORT

2020年11月23日

切ない気持ちになる

 しかしながら「時すでに遅し」だ。いくら謝っても、一度与えてしまった卑劣な印象はそう簡単に拭えるわけがない。もはや、この時点でホークスにはジャイアンツ全体が完全に飲み込まれていたのである。結局のところ悪い流れは変えられないまま、この日は前日以上に成す術もなくコテンパンにされた。そして騒動を引き起こした張本人である丸はこの日も6回一死一、二塁の反撃チャンスでワンポイントリリーフとしてマウンドに立った2番手・嘉弥真新也投手の前にあっさりと空振り三振するなど4打数無安打。〝逆シリーズ男〟の汚名を拭い去ることはできず、2戦目にして早くも日本一を逃した際の戦犯最有力候補としてその名が取り沙汰され始めている始末だ。

 最後も本当にシラケる終わり方だった。9回二死、ゼラス・ウィーラー内野手のニゴロを周東佑京内野手が捌いて一塁へ送り、アウトの判定に原辰徳監督がリクエスト。しかし判定通りで覆らず、本拠地のスタンドには何とも言えない微妙な空気が漂う中で試合終了となった。試合後のG指揮官の報道陣に対する会見時間はたったの39秒。ショックの色は隠せなかった。

 肩入れするつもりは毛頭ないが、こんなにやることなすこと全てがチクハグで弱い巨人を見るのは何だか切ない気持ちになる。それに「丸キック」のような〝暴挙〟など、たとえ不可抗力の中であったとしても「巨人軍は常に紳士たれ」が事実上のチーム憲章となっているジャイアンツで起こってしまうなんて、ひと昔前ならば考えられないことだ。

 セ・リーグの覇者でありながら、またしてもホークスにここまで子ども扱いされてしまうとパ・リーグとの実力差も感じずにはいられない。第3戦以降も巨人が一矢報いることなく2年連続で若鷹軍団の軍門に下るようなことになったら、セ・リーグ優勝の余韻は完全に吹き飛ぶ。まさに天国から地獄へと一気に突き落されることになる。原政権はリーグVチームでありながら、首脳陣の引責辞任も含め大ナタを振るう必要性が出てきそうな気配だ。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る