Wedge REPORT

2020年11月23日

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 勝負をさせてもらえなかった。プロ野球の日本シリーズ第2戦(22日・京セラドーム)で巨人は福岡ソフトバンクホークスに2―13と大敗。セの王者とは思えぬ無様なスコアで赤子の手をひねられるかのように連夜に渡って完敗を喫した。

 昨年の日本シリーズでソフトバンクには1勝もできず屈辱の4連敗に終わり、辛酸をなめさせられた。そのリベンジを今年は果たすつもりではなかったのか。まだシリーズの戦いは続くとはいえ、ここまで2戦2敗で2試合計3対18のスコアとも照らし合わせると巨人が盛り返していきそうな気配はとても感じられない。そう思わずにはいられないぐらい、巨人の戦いぶりは余りにもお粗末過ぎる。

(mischief0194/gettyimages)

 多くのG党も、ほぼ同じ思いを抱いているはずだ。実際、22日の第2戦で7回にアルフレド・デスパイネ外野手のグランドスラムが飛び出して11点目が入るとオレンジの応援グッズを身につけた本拠地(今年の日本シリーズで巨人は東京ドームを都市対抗野球のため使用できず京セラドームがホームゲーム扱い)の巨人ファンがそそくさと帰路に就き始めた。一方的なワンサイドゲームとなり、こんな酷い試合を最後まで見続けてはいられないと言わんばかりに次々と席を立っていく様子は何だか不甲斐ない巨人への「無言の抗議」のようにも思えた。

「334」

 それなりに長くプロ野球の取材にも携わってきているが、日本シリーズでこのような光景を生で目にしたのは久しぶりで生涯2度目のことだ。阪神タイガースが2005年10月25日の日本シリーズ第3戦(甲子園球場)で千葉ロッテマリーンズに1―10で大敗したとき以来だと記憶している。あの試合でも本拠地の虎党の多くはセ王者の片鱗すら見せつけられずロッテに打ちのめされた阪神の弱さに呆れ果ててしまい、観戦を〝途中放棄〟して続々とスタンドを離れていった。

 ちなみにこの年の日本シリーズも阪神がロッテに0勝4敗で完敗し、涙を飲んでいる。このシリーズ4試合の総計スコアはロッテ側から見て33―4。それを略した「334」は今でも阪神を揶揄するネットスラングとして定着している。もしかしたら2年連続でホークスに4連敗するだけでなく、その「334」を彷彿とさせるような大差の総スコアが再現されてしまうのではないか。このようにG党が危惧するのも無理はあるまい。

 悪い流れへの引き金となる〝致命的なプレー〟もあった。1人に責任を被らせるのは酷かもしれないが、21日の第1戦で丸佳浩外野手が見せた走塁は明らかにいただけなかった。2点を追う4回無死一、二塁の絶好機で呆気なく6―4―3の併殺打に倒れ、その際に一塁送球を受けるソフトバンク・中村晃内野手の左足を自身の左足で蹴飛ばす形になっていた。マウンドに立っていたホークスのエース・千賀滉大投手が、その場で思わず声を上げて抗議するような仕草を見せたものの蹴られた側の中村は笑みを浮かべて〝大丈夫〟とアピールしたことで事なきを得た。

 当日試合を生中継していた日本テレビが丸の併殺シーンを振り返る意味で繰り返して流したため、多くの視聴者に知られることとなり、ネット上でも「丸キック」として物議を醸した。全力プレーが招いた出来事だったのかもしれない。だが同じグラウンドで千賀が激高した様子は丸も気づいていたと思われ、少なくとも中村の左足を引っかけて接触した自覚はあったはずであろう。その場で中村に謝罪の意を示すか、多少なりとも気遣う振る舞いを見せていれば、ここまで騒ぎは大きくならなかった。しかしスルーしてしまったためネット上を中心に多くのファンから「丸は故意で蹴っ飛ばしたのではないか」と、あらぬ疑いをかけられることになってしまったのである。

 このワンプレーが千賀らホークスの投手陣、そして相手野手陣の闘志を掻き立てたのは想像に難くない。その数時間後に「丸キック」は海の向こうからシカゴ・カブスのダルビッシュ有投手にもツイッターで苦言を呈され、ますます批判の対象としてさらされることになった。一方で試合を中継した日本テレビは映像を繰り返し流していたにもかかわらず、この「丸キック」について何ら触れずにやり過ごし、一部を除いて大半のメディアも事実関係すら報じなかった。ただネット上では炎上状態になったこともあり、さすがに丸も事の重大性に危機感を覚えたのだろう。翌22日になって試合前のグラウンドで工藤公康監督、そして当人の中村に深々と頭を下げて謝罪し、相手陣営と〝和解〟した。

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