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2012年9月10日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

国際的な会計基準の違いが、日本企業を不利にしている。
M&Aにおいて日本基準では「のれん代」を償却するが、IFRSでは必要ない。
資金調達においても国際基準の会計を使った方が容易だ。
他の基準づくりの分野同様、日本のガラパゴス化を進行させてはならない。

 円高を生かす─。政府は昨秋から、円高対策の一環として「円高ファシリティ」を始めた。外国為替特別会計から財務省所管の国際協力銀行(JBIC)を通じて、海外で合併・買収(M&A)を行う大企業にドル資金を融資する仕組みだ。10兆円規模の融資枠を設定、貸し出しを始めている。当初は今年9月末までの時限措置だったが、さらに延長する方針だ。

 政権交代以降、民主党政府は繰り返し為替介入などを実施したが、すぐに効果が息切れして円高となる悪循環が続いた。そうしたことから、中長期的に円高メリットを取り込む戦略に転換したわけだ。

 総合商社が鉱山や油田などを買収したり、製薬大手が海外の創薬ベンチャーを傘下に収めたりすることを後押ししようという狙いだ。言うまでもなく日本は資源小国で、エネルギーの確保は重要課題。今では輸入額の3分の1を原油などエネルギーが占め、貿易収支の足を引っ張っている。同じく輸入依存が急速に高まっている製薬でも、国際的な業界の“常識”となったM&Aを避けて経営はできない。

 いわば、国を挙げてM&Aを後押しする戦略だが、M&Aを巡る企業間の国際競争で、日本企業を著しく不利にしている要因がある。国際的な会計基準との違いだ。

 企業を買収した際、帳簿上の資産価値よりも高い価格で買収するのが一般的だ。その買収額と帳簿価格の差を「のれん代」などと呼んでいる。日本の会計基準ではその差額を20年以内で償却、つまり費用として計上することになっている。ところが、国際会計基準IFRSでは、のれん代は無形資産として帳簿には記載するものの、償却はしないルールなのだ。

 例えば、のれん代が2兆円発生する巨額の買収をした場合、日本基準に従って20年で償却すると毎年1000億円規模の費用が発生する。当然のことながら利益を大きく圧迫するわけだ。IFRSを使っていれば、原則としてこの負担が生じないため、経営者としては大型のM&Aに打って出やすい。

 日本政府は当初、2015年前後のIFRS導入義務付けを想定して12年中に結論を出すとしてきた。ところが反対論の台頭で、方針を決める企業会計審議会の議論が長引き、会計基準の扱いが決まっていないのだ。

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