オトナの教養 週末の一冊

2012年9月21日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――ハクティビズムという言葉はまだまだ聞きなれない言葉ですが、新しい形の社会運動なのでしょうか?

著者の塚越健司氏 (撮影:編集部)

塚越氏:ハクティビズムとは、ハッカーたちの「ハック」と、積極行動主義ないし政治的行動主義を意味する「アクティビズム」を掛け合わせた造語です。新しい形の社会運動というよりは、ハッカー主体の政治運動です。従来の政治活動というとデモや選挙での投票、またシンポジウムなどを開いてみんなで話し合うといった言論活動があります。しかし、ハッカーたちは情報技術を使うことで80年代ころから徐々に、政治的または社会的な運動をしてきました。

 情報技術というのは、ウィキリークスで言えば情報源秘匿技術です。この情報源秘匿技術はトーアという技術を応用したもので、必ずしもウィキリークスに特権的なわけではありません。とはいえ、そのような情報技術を駆使すると、特定の法や政策に反対する際、ただ反対するだけでなく、その政策や法を実質的に無効化する抗議活動が可能になります。だからこそ合法・違法にかかわらず政府等と揉めることになるわけですが。

 また、ハクティビズムという言葉自体も15年ほど前からあり、とりわけここ10年ほどのコンピュータやインターネット技術の発展が本来のハクティビズム活動を可能にしつつあります。さらに、カナダの大学でハクティビズムを研究するアレクサンドラ・サミュエルによれば、ハクティビズムの活動内容は3つに分けられます。

 先に2つ挙げると、ハッカー文化の影響下にあるポリティカルコーディングとポリティカルクラッキングがあります。ポリティカルコーディングとは政治的な意図をもってプログラミングすることで、ハクティビズムの伝統的な姿と言えるでしょう。ウィキリークスがこれに含まれます。ポリティカルクラッキングとは、しばしば社会秩序を考慮せず、違法行為を含んだ活動によって政治的主張をします。そしてもうひとつ暴力を伴わず、政治的にリベラルな考えをもったアーティスト志向のパフォーマティブハクティビズムがあります。

――ハクティビズムという運動は、従来の政治運動よりかなり直接的ですね。

塚越氏:ものにもよるのですが、本当に政策を変えてしまうような活動もあります。とはいえそこには難しい面もあります。ウィキリークスは、世界の不正を簡単に暴露できるようになりましたが、それゆえにさまざまな国が取締を強化するような可能性もあります。一概には言えませんが、彼らの活動が逆に彼らの理想を遠ざける要因にもなりえてしまうわけです。つまり、政治運動とはウィキリークスのような運動だけでなく、関係者全員の微妙なパワーバランスで成り立っているのです。

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