オトナの教養 週末の一冊

2012年9月28日

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東嶋和子 (とうじま・わこ)

科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師

元読売新聞科学部記者。フリーランスで環境・エネルギー、医療、生命科学、科学技術分野を中心に、科学と社会のかかわりを取材。主著に『名医が答える「55歳からの健康力」』(文藝春秋)、『人体再生に挑む』(講談社)など。新著に『水も過ぎれば毒になる 新・養生訓』(文春文庫)

 岸本氏によると、「安全とは、専門家が決めてくれるものではなく、社会的合意に基づいて暫定的に決められる約束事」である。

 すなわち、「安全という概念は『受け入れられないリスクがないこと』と定義されると、操作可能な概念になる」わけで、「何かの安全を確保するためにはまずリスクを評価し、次に受け入れられないリスクのレベルを定め、それを上まわらないように管理するという手順をたどる必要がある」。

 例えば、交通安全基本計画では年間死者数3000人を安全目標としている。大気汚染物質や水道水中の化学物質については、1990年代に、生涯曝露し続けて10万人に1人ががんによって死亡するレベルを事実上安全と見なすという約束事がつくられた。

 ひるがえって、放射線のリスクはどうか。日本では、この安全目標についての議論が不十分で社会的合意ができていなかったために、混乱が拡大したといっても過言ではあるまい。

 私たちは、どれだけ「安全」なら「安心」するのか。その着地点を見出すためにも、「人間の理解と信頼の構築」をうながす社会心理学的アプローチは重要になっている。

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