社食に企業の想いあり

大人も夢中! 足立区役所の“学校給食”

小川たまか (おがわ・たまか)  ライター・プレスラボ取締役

1980年東京生まれ。編集プロダクション・プレスラボ取締役。教育、働き方、性暴力などを取材。Yahoo!個人でも執筆。Twitter:@ogawatam

社食に企業の想いあり

安くて気軽に利用できる、会社員の味方「社員食堂」。からだに優しい食材にこだわったり、自社製品を使用したメニューを提供したり、社食にはそれぞれの企業の工夫が凝らされている。その工夫は、自社の社員や社会全体に向けられたメッセージではないだろうか。社食を通じて表現したい企業の「想い」を紹介する。

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残食が110トン減った
足立区給食の取り組みとは

 足立区が給食事業に力を入れ始めたのは2008年度から。区内で転校した児童から、「転校した学校では以前より給食がおいしくなかった」という声があったことなどを受け、給食改革が始まった。また、近藤やよい区長が都議会議員を務めていたころからのゴミに対する問題意識も理由のひとつ。東京で出る生ゴミの中で給食の残菜が最も多く、足立区の給食残菜量(食べ残し)も年間で約340トンに上っていた。

 具体的に取り組んだのは、残菜量を毎日計量すること。足立区の小学校71校、中学校37校には各学校に1人ずつ栄養士を配置しているが、残菜を目に見える数字にすることで「食べ残しを減らすことへの工夫」がさらに深まった。例えば、野菜嫌いをなくすには、サラダのドレッシングにだしを加えて塩分を抑え、子どもたちの好きそうな味付けにしたり、クラスを巡って声がけをするなど、各学校で給食に対する意識の高まりが見られるという。

 「献立作成に関する共通理解に基づいて、各栄養士さんが知恵と工夫で献立を立てていますので、区から細かく指導をするということはなかった。が、食育の実践はお願いしました。」と塚原さんは言う。おかげで取り組みを始めてから3年で約110トン以上残菜(食べ残し)が減るという大きな成果があった。

 「食べ残しの少ない学校を取材すると気づかされるのが栄養士と児童・生徒との交流です。栄養士が校内を歩いていると、児童から『○○先生、今日の給食おいしかったよ』『僕は××が苦手だった』と話かけられるのを目にする。経験のある栄養士さんは、子どもたちとコミュニケーションを取りながらメニューを少しずつ改善していくことができるし、子どもたちがおいしく給食を食べるための工夫についていろいろな引き出しを持っている。各学校の栄養士同士で勉強会を開くなど連携を取ってもらって、経験ある栄養士さんの知恵 を、まだ経験の浅い栄養士にも伝えるようにしてもらっています」(塚原さん)

 塚原さん自身、足立区で生まれ育った。「子どものころの給食といえば、鯨の竜田揚げかカレーか。給食はとにかく早く食べて、その後の遊ぶ時間が楽しみだったという記憶がある。『おいしい給食』の担当になって、給食にサンマの蒲焼きが出ること自体がすごいなと思いましたね」と笑顔を見せる。

 レストランの“給食メニュー特需”は、まだまだ続きそうだ。

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小川たまか(おがわ・たまか)

ライター・プレスラボ取締役

1980年東京生まれ。編集プロダクション・プレスラボ取締役。教育、働き方、性暴力などを取材。Yahoo!個人でも執筆。Twitter:@ogawatam

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