世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月7日

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 エコノミスト誌(9月22日-28日号)が、表紙に尖閣の写真を載せ、「これらのためにアジアは本当に戦争に行きうるのか」と題する社説を掲載しています。

 すなわち、この夏、中国、日本などを巻き込んだ海洋紛争が引き続いて起こった。尖閣諸島(釣魚島)問題では、中国では反日デモが続いた。

 北京の政府は、遅ればせながら、経済的利益も念頭に紛争を鎮静化しようとしているが、岩をめぐる紛争は、第一次大戦の引き金を引いた、オーストリアの皇太子の暗殺と同じように重要なことになりうる。

 ナショナリズムの高揚、特に中国のそれは、脅威を深刻化している。日本の主張の合法性がどうであれ、その根は、残酷な帝国形成にある。中国の指導者は、ナショナリズムを煽り、利用してきたので、今や、領土のために戦わないと強く批判される状況に直面している。

 島の問題は資源ではなく、アジアの将来の在り方を決める意味合いがある。日本などは小さなことが前例になり、中国が次の要求を出してくると恐れており、一方、中国は主張を貫徹しないと、米と同盟国が中国に対抗してくると恐れている。

 アジアが島の問題を取り扱いかねていることは、朝鮮半島や台湾海峡をめぐる真の危機への対応力に疑問を呼び起こす。最近の中国の力を誇示する姿勢は、支配的強国になった時にどう行動するかについての不安を呼び起こしている。ささいな諍いが全面対決になる傾向は、米にとっても問題だ。

 島についての緊張の高まりと、アジアの和解され得ない歴史に鑑み、以下の3つの措置が直ちに必要だ。

 第1:小さな問題が危機にエスカレートする範囲を制限すること。海洋での船舶の行動基準を作り、衝突などの場合、どういう行動をとるのか決めておくべきだ。

 第2:主権についての紛争を棚上げする方策を見つけ出すこと。習・次期主席は、台湾問題を棚上げすることに成功した胡錦濤を見習うべきだろう。尖閣については、毛沢東も鄧小平も次世代に解決を委ねればよいとしていた。

 第3:抑止の強化。尖閣については、米の立場は明確だ。領有権についての特定の立場はとらないが、日本が管理している以上、米の保護下にあるとしている。これは、安定性を強化する。中国は、尖閣に侵攻出来ないことを知っている。しかし、オバマの他の島への姿勢ははっきりしない。

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