世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月9日

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 ブッシュ(父)政権のころから安全保障担当のスタッフを務め、ブッシュ(子)政権では国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたStephen Hadleyが、対イラン政策の八つの選択肢を列挙し、それぞれの長短を列挙する論文を、9月26日付で、フォーリン・ポリシー誌のウェブサイトに掲載しています。

すなわち、第一は、現状における基礎的なバーゲンであり、イランは3.5%以上のウラン濃縮をやめ、20%以上濃縮したウランを国外に搬出することである。第二は、その暫定取り決めの間、米国は今以上の制裁強化は止め、一部それを緩和してもよいとするもの。そして第一と第二の合意の上に立って、国連の決議などでそれを固めるのが第三の方策である。その間、外交関係の再開などの措置をとってもよい。第四には、こうして作った既成事実について、イラン側がIAEA の強制的な査察を認める必要がある。それにフォルドーの核施設が含まれるかどうかがカギとなる。第五は、長期的な制裁の実施による圧力行使であり、長期にわたる西側の一致した協力が必要である。第六は、交渉の見通しが全く失われた時は、限られた標的に対する、望ましくは、非公然の方法による軍事攻撃であり、そして、徹底した効果を狙うならば、第七は全面攻撃である。そして、第八は、イランの核武装を認めて、封じ込め政策を実施することである、と論じています。

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 この論文は31ページにわたるものですが、イランに対する最終政策を決定する前にどういう選択肢があるかを整理してみると、八つの選択肢があり、それぞれの長短を列挙したというものです。その中の、どれか一つの選択肢を推薦するという趣旨ではなく、何らかの政策提言があるわけではありません。ただ、対イラン政策を考える上でのよい整理となっていることは間違いありません。

 対イラン交渉は、結局のところ、西側の経済制裁の緩和とイランの核開発の抑制との間の綱引きと見るべきでしょう。

 西側の制裁は一朝一夕で出来たものではありません。まず欧州諸国の政策の統一だけでも、容易なことではありませんでした。それに、大口の石油輸入国である日本、中国を巻き込むのも大仕事でした。一旦これを緩めたならば、その再建が可能かどうかさえ分かりません。まして、石油の全面禁輸は七月に始まったばかりであり、その効果も見極めたいところです。

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