「安全」の根拠を具体的に伝える
福島のコメ農家

「飲食店」「卸し」で新規顧客を多く獲得した理由


永峰英太郎 (ながみね・えいたろう)  ジャーナリスト

1969年東京生まれ。明治大学政治経済学部卒。業界紙・夕刊記者、出版社勤務を経て、フリー。人物ルポを得意とする。著書に『日本の職人技』『「農業」という生き方』『日本の農業は“風評被害“に負けない』(いずれもアスキー新書)、『売れるネットショップ実践指南』(MdN)など。メールアドレス:eitaro.nagamine@gmail.com

ルポ・被災農家の「いま」

震災から1年以上が経過し、被災した農業・漁業関係者たちは復興に向けて懸命に努力している。地域や産品によって状況は様々だが、知恵をしぼり、一歩一歩前に進んでいく様子を、農家取材を得意とする著者が伝えていく。

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「2011年産のコメ販売を通じて、感じたことは『商品の安全性が確認され、さらにその安全について根拠のある説明ができれば、十分勝負できる」ということでした。福島だからダメということは、決してない。その自信を胸に、12年産のコメづくりに入りました」――。

 こう話すのは、福島県本宮市で一番の作付け面積(23ヘクタール)を誇る「御稲プライマル」の専務取締役・後藤正人さんだ。彼で4代目、120年の歴史を誇る。2009年に法人化した。

「直販」売上げ激減も「飲食店」「卸し」がカバー

 昨年(11年)の福島県産のコメは、県知事が10月に安全宣言をして出荷が全面解除されたものの、その後、県内各地のコメから国の暫定基準値を超す放射性セシウムが相次いで検出され、安全性が大きく疑われる事態となった。それでなくても放射能汚染米の印象が濃いなかで、この不手際が重なり、多くの米農家が売上げ激減に苦しむことになった。

「御稲プライマル」の専務取締役・後藤正人さん

 そのなかにあって御稲プライマルは違った。同社の取引先は「直販」「飲食店」「卸し」に分けられ、このうち一般消費者が相手となる「直販」は、主に贈答品としての売上げが激減したが、一方で「飲食店」と「卸し」の分野で、新規顧客を多く獲得し、マイナス分をカバーしたのだった。

 実は、福島第一原子力発電所の事故直後、同社は立て続けに飲食店の顧客を失っている。その事態に、すぐに11年産のコメ販売の対策を練ったことが被害を最小限にとどめることにつながった。

 「まずは放射性物質の測定を『独自』と『外部の専門機関』の二重体制にして行うことにしました。第三者のチェックは必須だと、思ったんです。それとお客様にただ『安全です』と伝えるのではなく、もっと具体的にその根拠を説明することもを心がけようと決めました」

 後藤さんをはじめ、全スタッフは多忙を極める農作業と平行して、放射性物質に関する勉強に励み、顧客に対し、分かりやすい言葉で安全性の説明ができるように知識を習得していった。

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「ルポ・被災農家の「いま」」

著者

永峰英太郎(ながみね・えいたろう)

ジャーナリスト

1969年東京生まれ。明治大学政治経済学部卒。業界紙・夕刊記者、出版社勤務を経て、フリー。人物ルポを得意とする。著書に『日本の職人技』『「農業」という生き方』『日本の農業は“風評被害“に負けない』(いずれもアスキー新書)、『売れるネットショップ実践指南』(MdN)など。メールアドレス:eitaro.nagamine@gmail.com

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