世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月10日

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 10月25日付ウェッブThe Diplomat誌で、James R. Holmes米海軍大学准教授は、中国の尖閣諸島に対する戦術を、フォアマンを消耗させて勝ったムハマド・アリのボクシングに例えつつ、その脅威について警鐘を鳴らしています。

 すなわち、有名なボクシングのフォアマン・アリ戦のごとく、中国は、そのA2AD戦略により、正面対決を避け、敵を消耗させつつ、自らの体力を温存して、米国に勝とうとするだろう。

 日本の香田洋二元海将は、中国の尖閣に対する戦術を「シャドーボクシング」に例えたが、中国は平時にこうした長期戦を仕掛け、日本が根を上げて「タオル」を投げ入れるのを待つ作戦だ。

 問題は、そのシャドーボクサーが自制を保てるか否かだ。過去の「敗北の歴史」を克服しようとする中国のようなファイター・ボクサーが「KOなしの勝利」に甘んじることは容易ではなかろう、と述べています。

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 ホームズの主張は、多くの日本の安全保障専門家たちが現在抱いている懸念を、率直に代弁するようなものでしょう。中国の対尖閣諸島戦術は、西太平洋における中国のA2AD戦略の一環であり、現在までの人民解放軍の南シナ海における行動とも軌を一にするものです。

 その本質は、日米海軍などと正面からの軍事的対立を極力避けつつ、長期的かつ執拗に、相手の物理的、精神的消耗を待ち、相手のミスに乗じて「戦わずして勝つ」ことだと思われます。

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