世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月31日

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 9月24日付米Wall Street Journal紙で、Michael Auslin米AEI日本研究部長は、尖閣問題の帰趨はアメリカにとっても重大な意味を持ち、日本側に立って積極的に関与することを呼びかけ、尖閣の周辺水域に「不可侵のレッド・ライン」を引くことを提言しています。

 すなわち、日中双方は武力衝突する気はないが、偶発要素、あるいは誤解から武力衝突してしまう可能性は高まっている。日本の安全保障は、尖閣問題の帰趨に大きくかかっている。日本が尖閣の行政支配を守ることができないと、それは竹島、北方領土問題にも響く。そして東アジアにおける中国の支配的地位は明白となり、中国は日本の水域にさらに圧力をかけてくるだろう。

 日本の海、空の兵力は、質的には中国に勝っているかもしれないが、50隻の海上自衛隊艦艇で200隻の中国海軍に対抗することはできまい。日本は米国の支援を求めてくるだろう。米国がそれに応じないと、米国の同盟体制はグローバルに崩れることになろう。また、中国がアジアでの勢力圏を伸ばせば、米国の影響力減退は早まろう。

 長期的には、米国が先頭に立って同盟諸国とアジア水域における信頼できる軍事プレゼンスを維持し、境界を一方的に変えようとするいかなる試みにも対抗することが、東アジアの平和・安定にとって重要である。まずは、尖閣の周辺水域に「不可侵のレッド・ライン」を引くことである、と論じています。

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 これまで米国では、「あんな小さな岩のために米国が戦争の危険を冒せるか。」という論調がありましたが、オースリンは、尖閣問題は米国の安全保障体制全体に決定的な意味を持ち得ると述べ、日本にとっては心強い論評です。

 しかし、オバマ政権が、オースリンのような考えに基づいて行動するかどうかは不確かです。それに、中国は1.1兆ドル強の米国債を保有していますので、これがどうなるかも、オバマ政権が気にしなければならないことの一つです。

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