世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月18日

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 9月10日付 Wall Street Journal紙で、Michael Auslin米AEI日本研究部長が、米国が中国の台頭に対抗するためにロシアと協力する余地があるのではないか、と論じています。

すなわち、プーチン大統領は、ウラジオストックでのAPEC首脳会議を、ロシア極東、さらにアジアでのロシアの影響力を強化するために使った。

 プーチンがアジアシフトしているのは欧州の成長鈍化故である。ドイツと英国もアジアに軸足移動をしているが、プーチンの動きも同様なものである。これまでロシアは欧州へのエネルギー輸出に焦点を合わせていたが、今後、アジア諸国への原材料輸出が重要になる。

 ただ、プーチン大統領は、純粋に経済のことを考えているのではなく、より大きな戦略を考えているようだ。ロシアの極東人口は国全体より早く減少しており、極東連邦管区は国土面積の3分の1を占めるが、人口は630万人以下である。隣接する中国の黒竜江省の人口は3800万人である。プーチンは積極政策なしには、中国がロシア極東を実質的には支配することになると怖れ、それがプーチンをアジアに向かわせている。

 プーチンはロシア領土を欧州とアジアの輸送路にし、道路、鉄道、港湾で極東をロシア中心部とより緊密に結び付け、ウラジオストックを北極航路の中継点にしようとしている。プーチンは、次に、この輸送路の安全確保のために陸では警察や軍を配備し、また日本海とオホーツク海に沿岸警備隊と太平洋艦隊を配備・増強するだろう。

 こういう戦略的拡張政策は、ロシアの権威主義的支配の現れで懸念されるが、プーチンのアジアへの軸足移動は、米国に機会も提供する。米露両国は、アジアに共通の懸念を持っており、海洋安全保障や自由貿易のための協力をなし得る。日本とロシアも中国の圧力をともに感じているが、米国主導で日本とロシアの間の氷を溶かす可能性もあるかもしれない。

 オバマ政権は軍縮などで関係のリセットを試み、失敗した。今度は米露間に存在する共通の土壌を理解し、利用すべきである、と論じています。

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 この論説は、中国の台頭に対抗するために、ロシアを利用できないかと言う考えに基づいています。こういう考え方は良く提起され、いかにも戦略的な発想のように言われますが、そう上手くは行きません。特に、日本にとっては、そういう発想をしない方が良いでしょう。

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