あの挫折の先に

2012年12月19日

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夏目幸明 (なつめ・ゆきあき)

ジャーナリスト

1972年、愛知県生まれ。愛知県立豊橋工業高校から早稲田大学へ進学、卒業後、広告代理店に入社し、その後、雑誌記者へ。小学館『DIME』に『ヒット商品開発秘話 UN・DON・COM.』を、講談社『週刊現代』には、マネジメントの現場を描く『社長の風景』を連載。ほか、明治学院大学講師をつとめ就活生の支援を行う。『資格の学校TAC』では、就活生と一緒にエントリーシートを書き、面接練習を行う講座を持つ。
執筆記事:「社長の風景」(現代ビジネス)、「火力発電所奮闘記」(『VOICE』)、「ビジネスの筋トレ」(『フレッシャーズ』)、「就職活動セミナー」(『資格の学校TAC』)

第9回 サッポロビール トップ営業マン
早川大輔さん(38)

 ビールメーカーの営業は、スーパーやコンビニなどの小売店や、酒販店(居酒屋などにお酒を卸す会社)に自社商品を取り扱ってもらえるよう働きかける役割を持つ。なかでも、今回取材した早川大輔は、サッポロビールが誇るトップ営業マンの一人と言っていい。同社には、酒販店向けの営業を担当する業務用部門に約350人在籍しているが、彼は人気商品『プレミアムアルコールフリー』の取扱店舗数を466店舗にまで増やし、全国NO.1に輝いている。

はやかわ・だいすけ/1974年、埼玉県生まれ。年齢38歳。1998年に駒沢大学法学部を卒業し、サッポロビール入社。東京支社東京南支店に配属、2005年東海北陸本部名古屋支社、2009年に首都圏本部東京統括支社 東京中央支店へ異動。2011年、同社『プレミアムアルコールフリー』の販売実績でエリアトップに立つ。

 しかし、彼も苦い経験をしていた。先輩たちが長く信頼関係を築いてきた飲食店に、他メーカーの食い込みを許したことがあるのだ。

元気に「なんとかしますよ」と言うと、
顧客はなぜか、彼から離れていった

 入社2年目、東京南支店で勤務していた時のことだ。彼が担当していた酒販店(卸売店)が、非常に繁盛している焼肉店にサッポロビールを卸していた。当然、早川も焼肉屋へ出向き、時には新商品を売り込み、価格交渉などもしてきた。だが、繁盛店には当然、他メーカーの営業や、他メーカーのお酒を扱う酒販店も営業にくる。彼はある金曜日に焼肉店へ呼ばれ、店の仕入れ担当者から、他メーカーからアプローチがあることと、焼肉店にとって有利な条件が提示されていることを知らされた。その後、焼肉店の担当者は「サッポロさんも同じことができますか?」と早川へ問うた。その時、彼は元気にこう答えた。

 「なんとかしますよ!」

 このたったひと言が、今も忘れられない衝撃的な結果をもたらした。週明け月曜日、焼肉店を訊ね「金曜日の話ですが」と切り出した瞬間、先方に「ほかのビールメーカーも入ってくることが決まった」と言われたのだ。

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