未利用材バイオマス発電
補助金4重取り(後篇)

固定買取価格32円は21円で済む!?
~調達委に査定能力はあるか


朝野賢司 (あさの・けんじ)  一橋大学特任講師

1974年福岡県生まれ。京都大学大学院にて地球環境学博士号を取得。産業技術総
合研究所バイオマス研究センター特別研究員を経て、2007年より電力中央研究所
社会経済研究所主任研究員。2015年4月より現職(兼任)。著書に『再生可能エネルギー政策論 買収制度の落とし穴』(エネルギーフォーラム社刊)など。

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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※前篇はこちら

 2012年7月に始まった再生可能エネルギー固定価格買取制度(Feed-in Tariff、以下FIT)において、買取価格は、「効率的な供給を行う場合に通常要する費用」に「適正な利潤」を加え算出される(再エネ特措法〔以下、FIT法〕3条2項)。有識者5名による調達価格等算定委員会以下、調達委は、業界団体の希望価格とコストデータを査定し、希望価格をほぼそのまま認め、経済産業大臣に意見書を提出した6月に大臣が決定)。つまり、業界の「言い値」が今年度の価格となった。

 しかし、未利用木材チップの価格が調達委で事業者が示した12000円/トンと異なるのならば、適正な買取価格は大きく変化する。木質バイオマスの発電コストの内訳をみると、燃料費木材チップ)が6割超を占めるからだ。

 ところが、未利用木材チップ価格の査定は、未利用であるが故に市場がないことに加えて、言い値の根拠を確認するには構造上限界がある。

 しかも、調達委の資料を検証すると、計算諸元の中に試算に不可欠な稼働率等があきらかでなく、買取価格が適正なのか、再現が難しい。

 FITの費用は賦課金として電気料金に上乗せされる。FIT法3条4項は、「賦課金の負担が電気の使用者に対して過重なものとならないこと」を規定している。現行FITの枠組みを維持し続けるのならば、最低限、買取価格の透明性向上に全力を尽くすべきだ。

 他方で、コストに利潤を認めるFITが、できるだけ少ない国民負担で、より多くの電力供給を得る「効率的な再エネ供給」に資するのか、真剣に検証する必要がある。

補助金分は買取価格から控除を

 FIT価格設定の第1の問題はFITと設備補助金の二重取りが許されていることだ。買取価格はコストに利潤を加えて決められているので、本来設備補助金は不要だ。だが、雇用創出等他の政策目的があれば、2重取りが認められている。

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「WEDGE REPORT」

著者

朝野賢司(あさの・けんじ)

一橋大学特任講師

1974年福岡県生まれ。京都大学大学院にて地球環境学博士号を取得。産業技術総
合研究所バイオマス研究センター特別研究員を経て、2007年より電力中央研究所
社会経済研究所主任研究員。2015年4月より現職(兼任)。著書に『再生可能エネルギー政策論 買収制度の落とし穴』(エネルギーフォーラム社刊)など。

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