世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年2月1日

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 豪州のシンクタンクLowy Institute(ロウィー研究所)国際安全保障プログラム所長のロリー・メドカーフ(Rory Medcalf)が、1月5日付 The Diplomatウェブサイトに「2013年、軍事外交は平和を維持できるか(Can Military Diplomacy Keep the Peace in 2013?)」と題する小論を寄稿し、東アジアの海洋衝突に向けた米中日越比の海軍間交流により紛争を回避すべしと論じています。

 すなわち、昨年12月末、ハーレー豪州軍最高指揮官は、インタビューの中で、意思疎通と予測可能性を習慣として確立するために中国軍との合同演習、さらに、場合によっては米軍も加えた3国合同演習を行なう可能性があると述べた。

 こうした建設的交流によって信頼が醸成され、紛争のリスクが軽減するという考えは肯ける。豪州はこれまでも自国の軍、とりわけ海軍を、外交的影響力を発揮できる存在として積極的に活用してきており、また、豪州自身がそうした交流活動の招集者として、また、交流の場の提供者として非常に適している。これは米中との関わりに限った話ではなく、豪州と軍事的に良好な関係にある、あるいは関係が改善しつつある他のアジア諸国、とりわけ、インドネシア、日本、インドについても言えることだ。

 もっとも、政治指導者たちは、そうした、武力行使とは無関係な無難な問題に集中しがちな、間接的な信頼醸成措置の限界をも認識することが重要だ。

 確かにこの10年、中国は他のインド・太平洋諸国との間で、艦船の訪問や低強度演習といった間接的防衛外交を大幅に深め、ペースも強化してきた。しかし、このことが、南シナ海や東シナ海において信頼の高まりや作戦行動上の意思疎通の改善につながったようには思えない。

 したがって、2013年には、相手国とより直接的な信頼醸成活動を行うよう、中国をはじめとする関係諸国を促すことが、戦略略的友好の試金石であり、外交の優先課題であるべきだろう。これは、紛争海域で偶発事故が起きるのを防止し、偶発事故が起きてしまった場合はそれを管理するための手続きと意思疎通回路を確立するということだ。

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