建てたビルが1年で壊れても
中国を賞賛し続ける産油国・アンゴラ政府


谷口智彦 (たにぐち・ともひこ)  慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

中国はいま某国で

中国はアフリカや中南米、太平洋諸国でどんな活動をしているか。日本の報道が見落としてきた第三国での動きを追いかける。ウェッジ誌連載中のコラムを逐次アップ。

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西アフリカの産油国アンゴラは、中国にとって巨大な石油輸入元である。

西アフリカのアンゴラ
空き住宅林立のワケ

 2010年、中国はアンゴラから日量78万8000バレルの石油を輸入した。同89万3000バレルを買ったサウジアラビアに次ぎ、輸入元として世界第2位に当たる。3位のイランに対して大きく水をあけた(Statistaによる)。

 アンゴラの意義を知る北京は多額の資金を注ぎ込み、住宅、病院を建てるなど同国での影響力強化に勤しむ。しかし、つくった病院はすぐさま欠陥を露呈し、住宅は借り手不足でゴーストタウン化した。それが、少なくとも12年央までの状況だった。アンゴラでの中国ソフトパワー外交は、投じるカネの割に不首尾であるかにみえる。

 中国人民解放軍の上級将校訓練課程に加え、中国商務省中央学校も履修・卒業したアフリカ人のロロ・ホルタという書き手は、中国への親密ぶりを想像させる経歴とは裏腹に、アンゴラに対する中国の関与を厳しく批判する記事を著した。文中、アンゴラ人土木専門家の引用がある。

 「ポルトガルがつくったビルは50年経ってもびくともしない。中国人が建てたビルは、1年もすると壊れだす。建てるのは安いし速いが、中国がつくるものは壊れるのも速い」

 12年4月、在北京アンゴラ大使は、中国人へのビザ発給件数が連日200を超えると明らかにした。大挙流入する中国人労働者や小商店主はアンゴラ社会との間で紛争を生んでおり、アンゴラ人の幼児を中国人が性的に虐待したとか、果ては「食べた」といった、事実か噂か分からない話まで地元紙に載る始末らしい。

 それでもアンゴラ政府は中国を批判せず、賞賛をもっぱらとする。中国も悪印象を拭いたいのだろう、新手の利益誘導策をやめようとしない。

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「中国はいま某国で」

著者

谷口智彦(たにぐち・ともひこ)

慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

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