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2013年4月16日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

出だし好調のアベノミクスだが、日本を成長路線に乗せるには構造改革が不可欠になる。そこで求められるのは、既得権を排し「強い企業をより強くする」という戦略だ。たとえ企業が倒産しても、他社で雇用があれば、個人が切り捨てられることにはならない。強い企業をより強くする政策を明確にして、雇用創出を促した方が国民のためになる。

 安倍晋三首相の掲げる経済政策、いわゆるアベノミクスの出だしが好調だ。「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資を喚起する成長戦略」の3本の矢を政策の柱としているが、1本目の矢である金融緩和に強い姿勢を示しただけでその効果は表れた。大幅な円安となり株価が上昇。人々の景況感を一変させた。いわば景気に火をつける役割を1本目の矢は果たしたわけで、それだけでも大成功だろう。

 だが今の段階は、薪に火をつけるための新聞紙にパッと火がついたにすぎないとも言える。日本経済を再び成長路線に乗せるには、3本目の矢、つまり成長戦略の果敢な実行が不可欠だ。その中心を担っていくのが、首相が議長を務める「産業競争力会議」である。コマツ会長(4月1日付で取締役相談役)で経団連副会長の坂根正弘氏、武田薬品工業の社長で経済同友会の代表幹事長谷川閑史氏、ローソン社長の新浪剛史氏、慶應義塾大学教授の竹中平蔵氏ら改革派の重鎮が並ぶ。6月にも「成長戦略」を発表するが、メンバーからみて日本の産業構造に大きく斬りこむ具体策が提示されるだろう。

 「規制改革は安倍内閣の一丁目一番地」。安倍首相は規制の見直しを行う規制改革会議の初会合でこう述べた。同会議の議長の岡素之・住友商事相談役は、産業競争力会議の議員も兼ねる。つまり規制改革と成長戦略が連動する仕掛けになっているわけだ。3本目の矢の本質は、規制改革による構造改革路線に他ならない。

 金融緩和や財政出動は国民の多くが賛成する。賛成でなくても損害を被る人は少ない。ところが構造改革となると、既得権を持つ業界や年齢層との利害衝突は不可避になる。それでも改革を貫けるかどうかがアベノミクスの正念場と言えるだろう。

 その産業競争力会議の議論が始まっている。興味深いのは製造業の代表ともいえる坂根氏の主張だ。

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