世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年4月2日

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 2月22日付米The Diplomat誌に、James R. Holmes米海軍大学教授は、米国のアジアへの軸足移動(ピヴォット)に合わせて、台湾も自己防衛力の強化に軸足を移動させなければ、米国は多大なコストを払ってまで台湾有事の際の介入に踏み切るか分からないと、台湾に防衛強化を促す論文を書いています。

 すなわち、もし台湾の人たちが自己防衛を重視し、米国が中国の接近阻止を打ち破るのを助けるならば、米国のアジア・ピヴォットは、台湾の安全保障を高める。中国は、台湾側に立った米国の介入を抑止しようとしており、台湾は対抗しなければならない。

 1995-1996年の台湾海峡危機の際、米大統領は海軍を派遣した。当時の中国はどうしようもなかったが、今はそうではない。オバマ大統領は、中国沿岸で作戦を行うコストと、超大国としての立場を維持するメリットを計算しなければならない。米国は海洋国家であり、太平洋艦隊の主要な部分を失うことは、米国の死活的利益を後退させることになる。

 いかなる米大統領も、これほど重大な結果を伴うことを、簡単には決定しえない。クラウゼヴィッツは、政治目的達成に付与する価値が、それらを達成するための資源投入とその期間を決めると述べているが、費用便益分析として適切である。要するに、中国は、耐え難いまでにコストを高めようとしている。そのコストが高過ぎれば、米指導者は、台湾有事への介入をやめるかもしれない。

 台湾は、この論理に対抗しなければならない。台湾は、米国に対して、台湾防衛が受け入れがたい費用ではないことを示し、米国の費用便益分析を、介入の方向になるように影響を与えなければならない。

 台湾は、自ら接近阻止措置を取るべきである。島の東に海空軍を配備し、米軍来援の回廊を開けておく必要がある。それには、現在GDPの2%くらいの軍事費を増やすべきである。これは、脅威のないNATO諸国以下で、危険の存在を否定する社会を示している。

 台湾は、米国の軸足移動に合わせて、自己防衛に軸足移動をしなければならない。もし台湾の指導部に、その気がなければ、米国人は、自分の防衛、その政治的な生き残りに無関心な同盟国のために、深刻な危険を冒すのか、疑問を呈するだろう、と論じています。

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 この論説は、台湾を日本に置き換えて読んでも、十分に意味が通じます。安倍政権が、防衛費の増額に舵を切ったのは、その意味で歓迎されますが、台湾もそうすべきなのでしょう。

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