佐藤忠男の映画人国記

2013年5月14日

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 岩手県と言えば宮沢賢治。その詩や童話の朗読を聞いて、いちばん上手いと思うのは新劇女優の長岡輝子(1908-2010年)である。盛岡市の出身だから当然かもしれないが、岩手弁がとても品のいい発音で印象づけられるのが素晴らしい。映画では成瀬巳喜男の「山の音」(1954年)など、しっとりとした味わいのある渋い芸であった。

 園井恵子(1913-45年)は松尾村(現八幡平市)出身。宝塚歌劇から映画界に迎えられて戦争中に名作「無法松の一生」(1943年)に出演した。そしてたまたま、移動演劇の劇団に参加して広島にいたときに原爆に被爆してなくなった。新藤兼人監督の映画「さくら隊散る」(1988年)はこのときの彼女の死を描いている。合掌。

 宮城千賀子(1922-96年)は盛岡市生まれ。やはり宝塚歌劇出身で戦争中に吉川英治原作の「宮本武蔵」(1940年)の純情可憐なヒロインお通さん役で映画デビューした。以後ずいぶん多くの映画に出ている。

 藤圭子は一関市出身。歌手として「圭子の夢は夜ひらく」その他の暗い恨み節のヒットがあり、その映画化に出演した。宇多田ヒカルの母である。

 三原葉子も盛岡市出身。「網走番外地」シリーズや「女囚701号/さそり」(1972年)などの不良っぽく啖呵をきる女として人気があった。

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