WEDGE REPORT

2013年3月11日

 12年12月21日、岩手県大船渡市の市民文化会館でスマートコミュニティ検討委員会が開催された。出席したのは、委員となった地元企業経営者や公民館長、商店街や社会福祉法人の関係者など地域住民のリーダー9人。有識者として招かれた電気機器メーカー大手・明電舎や、各地で再生可能エネルギーの市民プロジェクトを手がける環境エネルギーベンチャー・サステナジーの説明に耳を傾けた。

 「気仙広域環境未来都市構想にこれまですごく期待してきましたが、絵が大きすぎてわからないことも多かった。今回、具体的なことが見えてきて、期待感が高まりました」(委員の1人)

震災前の課題をどう解決するか

被害が甚大で再建が遅れる陸前高田市内

 岩手県陸前高田市、大船渡市、住田町の2市1町からなる気仙地域は、内閣官房国家戦略室(当時)が進める環境未来都市構想に応募し、採択された(11年末)。持続可能な街づくりの先導的モデルとなるよう計画を策定中だ。具体的には再生可能エネルギー、コンパクトシティ、農業水産加工業振興、木造環境住宅、医療介護の5プロジェクト(以下、PT)からなる。

 「被災地には震災前からの課題がある。それを克服するような復興でないといけない。環境未来都市構想はそのきっかけとなる重要な舞台装置。まずは、大きな被害を受けた大船渡駅周辺地区と末崎(まつさき)地区で、それぞれ大規模な区画整理と高台移転の取り組みを進めているので、この2地区でスマートコミュニティを具体化させていきたい」と、気仙広域環境未来都市推進共同事業体の運営委員長を務める戸田公明・大船渡市長は語る。

 冒頭に紹介したスマートコミュニティ検討委員会は、2地区におけるスマートメーター、スマートグリッド、太陽光発電設備及び蓄電池の導入、地域暖房システム、電動モビリティのインフラ構築を一体的に検討し、事業性評価(フィージビリティ・スタディ=FS)を行う。

 検討委の事務局を務めるのは、山村友幸さん(35歳、環境未来都市・医療介護PTのコーディネーター)と矢野信吾さん(42歳、コンパクトシティPTのコーディネーター)だ。2人は、気仙地域に住み込んで、市役所に机を間借りしながら、地元の人々と一緒になって調整や計画策定に奔走している。

 大船渡市企画政策部企画調整課の志田努課長は「震災後、大学教授やゼネコン、企業、政治家など、多くの人が支援したいとやってきたが、地域に根を張って共に頑張ろうという人は多くない。若い2人はこれまでの仕事でいろんなネットワークを持っていて、私たちでは調べるのに時間のかかる情報でもすぐ取ってきてくれる。役人にはない民間人ならではの突破力で、地域住民にもどんどん入り込んで信頼を獲得している」と言う。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る