2024年4月19日(金)

Wedge REPORT

2013年3月11日

 大船渡市は、被災地のなかでは比較的復興が進んでいる地域である。高台にあった市役所が機能を失わなかったことや、市街地の一部が残ったこと、ガレキを置くための広大な市有地や焼却炉をもつ太平洋セメントが地域にあったことが大きい。

インタビューを受ける戸田公明・大船渡市長

 「復興計画など復興の枠組みは11年中に固め、復興庁が動き出してからは40種類の復興交付金事業を迅速に進めている。集団移転は住民の合意形成を後押しし、全ての実施予定地区について、事業計画が交付金配分決定に漕ぎ着けた」(戸田市長)。

 それに比べ、死者・行方不明者約1800人を数え(大船渡市は約400人)、約120人の市役所職員も喪った陸前高田市は「復興が遅れている」(ある市民)。悲惨な被災状況や「奇跡の一本松」などでメディアによく取り上げられたために、外部からの支援者が数多く訪れたが、ただでさえ行政が人手不足のため、交通整理もままならなかったという。

必要な人材 邪魔する人材

 「震災復興を加速させるために」(1)で紹介した南相馬市でも、NPOが多く誕生しているが、外部からやってきたNPOは設立時の補助金目当てではないかというものも散見されるという。南相馬では子供とお母さんがもっとも減っているのに、保育関係のNPOができたり、行政が個人線量計や計測器を配布しているのに、放射性物質を計測するNPOが登場したりしているという。

 外部人材は必要だが、復興の役にたたないばかりか、妨げになるような人もいるということだ。国土交通省出身で大船渡市副市長を務める角田陽介さんはこう言う。

 「専門性のある人材はもちろん来て欲しい。民間ならではの能力を持つ人にも来て欲しい。だが、こんな人は来ないで欲しい。アンケートばかり取る自己満足の研究者。1人1台の車が要るという地方の実情がわからない、都会の価値観を押し付ける人。自分の発想を押し付けるばかりで調整をしない人。マインドの問題です」


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