2024年5月19日(日)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年7月6日

 「Wedge」2022年7月号に掲載されている特集「日本を目指す外国人労働者 これ以上便利使いするな」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
すでに多くの外国人労働者が就労している日本だが、彼らを日本社会にいかに統合していくべきかに関する議論は深まらない。何が必要なのだろうか。移民政策に詳しい鈴木江理子教授に聞いた。
話し手・鈴木江理子
聞き手/構成・編集部 鈴木賢太郎
鈴木江理子(Eriko Suzuki)
国士館大学文学部 教授
一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。移民政策や人口政策、労働政策を研究する傍ら、外国人支援の現場でも活動。著書に『アンダーコロナの移民たち』(編著、明石書店)など。

編集部(以下、──) リーマン・ショックに続き、新型コロナウイルスの感染拡大という「危機」が日本を襲い、外国人労働者の立場が再び揺らいだ。今回の危機から学べることは何か。

鈴木 コロナ禍以前、メディアなどでは「外国人労働者なしでは成り立たない」といった言説がもてはやされていたが、コロナによって、労働市場における彼らの脆弱性が露呈した。

 リーマンショックの時、日系南米人をはじめとする多くの外国人が仕事を失い、新たな仕事を見つけることが困難であった経験から、日本語習得の重要性が改めて認識された。その後、2019年に「日本語教育の推進に関する法律」が成立したが、諸外国のように無償あるいは低額で、権利として「公用語」である日本語を学べる公的制度は、いまだ整備されていない。

 日系南米人をみても、日本での就労がかなり長期に及んでいるにもかかわらず、正規の仕事に就いている者は少なく、いまだ不安定雇用から脱却できていない。

 外国人労働者が失業し、支援が必要になると、「だから外国人は困る」「生活保護の利用はけしからん」という声が大きくなる。しかし、それは外国人労働者を「弱者」にしないための取り組みを進めてこなかった日本社会の責任でもある。日本語や技能などを習得できる環境を整え、外国人が日本社会で自立した生活ができるようにすることは、建設的な受け入れ議論をするためにも、極めて重要だ。

──外国人労働者が日本社会で自立して生活していくうえで、一番大事なことは日本語の教育なのか。

鈴木 コミュニケーションのきっかけは「言葉」かもしれないが、日本語を学べばすべてが解決するわけではない。オンラインによる日本語教育も少しずつ進んでおり、日本語教室へのアクセスが難しい地方都市では有効であろう。一方で、……

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Wedge 2022年7月号より
日本を目指す外国人労働者 これ以上便利使いするな
日本を目指す外国人労働者 これ以上便利使いするな

“人手不足”に喘ぐ日本で、頻繁に取り上げられるフレーズがある。「外国人労働者がいなければ日本(社会)は成り立たない」というものだ。しかし、外国人労働者に依存し続けることで、日本の本当の課題から目を背けていないか?ご都合主義の外国人労働者受け入れに終止符を打たなければ、将来に大きな禍根を残すことになる。


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