世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年4月25日

 3月24日付ウェブ米Diplomat誌にて、ストックホルムの安全保障・開発政策研究所のElliot Brennan氏が、中国には膨大な量のシェールガス資源があるが、シェールガス生産に必要な高度技術と大量の水が中国には不足しており、その上、シェールガス生産に伴う汚染水を適切に処理しないと環境破壊を引き起こす恐れがある、と述べています。

 すなわち、中国では石油資源が枯渇しつつあり、2030年には国内需要の79%を輸入しなければならないとの予測もある中で、シェールガスに対する期待は大きい。中国のシェールガス埋蔵量は、米加の合計を上回るとも言われており、中国政府は2020年までにエネルギー需要量の10%をシェールガスで満たすことを目標としている。

 しかし中国のシェールガス開発には以下のような問題がある。

 1つ目は、技術である。シェールガスの抽出は難しい。シェール(頁岩)は多孔質で透水性の低い堆積岩であり、閉じ込められたガスを取り出すためには水圧破砕といって、砂と化学物質を含む高圧の水を大量に噴きつける。また地下のガス資源量を評価するため3次元の地震測量を行い、水平掘削も必要である。このようにシェールガスの抽出には専門技術と経験が必要であり、北米を除いては、中国を含め、シェールガスを安全かつ効果的に抽出する能力には限界がある。

 2つ目は、水である。シェールガスの抽出には大量の水が必要である。中国政府はすでに水不足を懸念しているが、専門家は、今後中国の水不足はさらに深刻化するだろうと警告している。シェールの多くが存在していると見られる中国北西部は雨量が少なく、限られた地下水に頼らなければならない。中国は、人口雨計画を発表し、また北西部に水を輸送することも考えられるが、長距離のパイプラインといった大規模なインフラを整備しなければならない。

 3つ目は、環境である。水圧破砕に使われる水は化学物質、メタン、放射性物質を含んでおり、厳しい規制が行われないと耐水層や地下水が汚染される恐れがある。米国では、環境に関する懸念が、シェールガスをめぐる議論の中心となっている。水の汚染とシェールガス抽出の際発生する有毒ガスについての国民の懸念がメディアの関心を集めている。中国に関しては、水の汚染に対する国民の懸念が高まっており、最近のある報告では、中国の河川の40%近くは著しく汚染されているとのことである。中国では2012年10月、厦門と大連で住民の抗議の結果、石油化学工場の建設が中止となった。中産階級の増加、インターネットの普及、地元の重要問題への住民参加の増加により、中国政府は安定を維持するため、国民の不満に対処しなければならない。

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