山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2013年5月1日

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 飼い主は自分のペットと顔が似てくるといわれるが、今回の主人公はナマズのような顔をしたベトナム人の話題である。

自慢のナマズを抱えるトイ会長 (撮影:筆者)

 ステンレスなどに使用されるクロム鉱石の開発でベトナムに行った時、ナマズのような顔をしたトイ会長(60歳)に会った。クロム鉱山の親会社がベトナムで最も大きな水産養殖企業で、そこの会長さんである。700万人都市のホーチミン市から3時間ほど南西、メコンデルタの河口にあるタンホアという町で操業している近代的な水産養殖業を参観した。

 ナマズ会長は、軍出身の企業家である。わずか12年足らずで彼の水産会社をベトナムナンバー1に育て上げ、2007年には会社をホーチミン証券市場に上場させた成長企業の総帥である。

 その秘密が意外なことにメコン河のナマズ養殖であった。それは日本人が思い描く日本ナマズではなく、現地でバサと呼ばれている白身の魚で、英名ではパンガシウス(pangasius)と呼ばれている。たまたま同じ日にコロンビアとウクライナのバイヤーが買い付け商談に来ていたが、なんと世界130カ国に輸出されているのだ。

 1日のナマズの出荷量が1600トンというから凄い。1匹約400グラムのナマズが毎日400万匹も処理されて世界に輸出されていることになる。

 さて、その味は日本でいえばウナギのような味わいでさっぱりしている。その日の晩餐にはあらゆる水産品が供されたが、中でも「バサの唐揚げ」が一番美味しかった。ところが、ナマズのイメージが悪いためか、まだ日本向けの輸出実績はないという。ナマズ会長はこのバサを世界中にもっと供給することが夢で「中村さん、クロムの輸出を貴方に任せる代わりに、バサの輸出も是非とも日本市場に広めて欲しい!」というのである。

 ただ、弊社はレアメタル専門商社で食品を扱った経験はないので丁重にお断りした。しかし、ナマズ会長の占いでは「あなたは、私の最高のパートナーになる運命だ」といって憚らないのである。無下に断るわけにもいかないので、知り合いに紹介して是非成功させましょうと言葉を濁した。

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