世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年5月20日

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 マイケル・オースリン(Michael Auslin)が4月19日付ナショナル・レビュー・オンラインに、「アジアでの漂流」と題し、オバマ政権のアジアへの軸足移動は内実を伴っていない上、目的も明らかではないと厳しく批判し、その是正策を論じています。

 すなわち、オバマ大統領はアジアへの軸足移動を外交的動きとしているが、これは軍事・防衛政策でもある。中国の台頭と北朝鮮問題なしに、米としてそういう政策を発表する理由はない。これは米国への期待を高め、これには米国の信用がかかっている。

 しかし賢明とされたアジアへの軸足移動は、今や疑われ、あざけられ、放棄されている。フォロー・アップされておらず、米国の立場を実質的に変えることが少ない。また地域での均衡に深刻な問題が発生している。

 今日、取り組むべき二つの課題がある。

 第一に、米国の安定を維持する能力と意思に疑問を投げかけるような緊張が増大していることである。

 今のアジアは、中印紛争から島の紛争まで領土・国境紛争で満ちている。特に中国と隣国の海洋紛争は深刻で、ここ2年厳しくなっている。

 オバマ政権は巻き込まれない決意を明らかにしたが、中国の隣国は自分一人でこの問題を解決する自信がない。そこで米国の支援を求めたが、それを得ていない。

 もう一つの不安定は北朝鮮である。米国は北朝鮮の攻撃的行動を押さえられていない。民主党政権も共和党政権も、「交渉」に戻る言い訳ならなんでも取り上げている。国連制裁は北の行動を変えず、意味のあった金融制裁は外交交渉のために犠牲にされた。

 第二に、中国の台頭、アジア主要国の軍備増大と米国の防衛費の縮小である。

 中国は軍を増強し、領土紛争で主張を強め、遠洋、宇宙、サイバー能力を誇示している。

 これに対しアジア諸国は軍備を増強している。潜水艦、精密誘導ミサイルに投資し、日本、韓国、インドは最新戦闘機を買っている。米国の同盟国の自助努力は良いことであるが、同時にこれらの国が安全保障上の不安を抱えていることを示している。

 オバマ政権はアジアへの軸足移動を言いつつ、予算を削減し、米国の役割を増加する具体策はほとんど示していない。大統領はじめ米高官は、米国が太平洋パワーであると言い続けているが、大したことはやっていない。豪に2500海兵隊員を派遣すること、シンガポールに戦艦を一時的に入港させること、米海軍の60%をアジアにおくこと(その大部分は既にアジアにいる)以外に、米国のアジア政策の変化を示すものはない。

 また、オバマ政権は、アジアにおける目標をよく説明していない。中国封じ込めなのか。海洋紛争には影響を与えるが、介入しないのか。北に強く警告するのか。

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