黒船音楽配信サービス・Spotify上陸へ
音楽産業の鎖国解くか


WEDGE編集部 伊藤 悟 (いとう・さとる)

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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定額制音楽ストリーミングサービス「Spotify(スポティファイ)」が年内には日本でサービスを開始することが弊誌の取材で明らかになった。縮小続く音楽業界では待望論もあるが、行く手には高い「壁」が待ち受ける。

 「年内、早ければ10月にはあの“Spotify(スポティファイ)”が日本でサービスを開始します。衰退が止まらない日本の音楽業界にとって、今年は非常に重要な年になります」(関係者)

海賊版をも駆逐するSpotify

 2008年にスウェーデンで誕生したSpotifyは、音楽のストリーミング配信を行う企業で、欧米を中心に爆発的な人気を誇る。

 ユーザーは月額9.99ドル(アメリカの場合。日本円で約1000円)支払うことにより、クラウド(インターネット)上に保存してある2000万以上の曲をパソコンやタブレット、スマートフォン(スマホ)などで自由に聴くことができる。

 広告が出るなど、様々な制約があるものの、無料でも楽しむことができ、世界で2400万人以上のアクティブユーザーが存在する。驚くべきは有料会員率で、2400万人のうち、600万人が有料会員だ。有料会員率20%を超えるインターネットサービスというのは稀有な存在である。

 「検索と再生が早く、クラウドであることを感じさせない」(海外のSpotifyユーザー)ことも、爆発的な人気を誇る一因であるといえるが、もうひとつ注目すべき点がある。

 それは海外大手レコード会社の「協力」だ。Spotifyは成長する過程で海外の大手レコード会社が出資し、協力した。これにより、リリースされているほぼすべての曲を聴くことができ、2000万曲を超える楽曲の提供を可能にした。

 「ストリーミングサービスは、音楽とデジタルの不幸な歴史を終わらせる可能性をもっています」

 音楽プロデューサーで『デジタルコンテンツ白書2012』(デジタルコンテンツ協会、経済産業省監修)の音楽部分を執筆した山口哲一氏はそう話す。デジタル化された音楽は、海賊版を発生させ、「違法」に音楽を楽しむ人を増殖させた。だが、ストリーミングはデータを複製されにくい。

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