2024年5月20日(月)

ビジネスと法律と経済成長と

2023年2月10日

 今回に関していえば、「回転寿司テロ」動画を単にリツイートしただけの、テロ行為をした人物と全く無関係なユーザーに何らかの法律的な責任が生じるかといえば、その可能性は低いだろう。

 回転寿司テロ動画は、企業への誹謗中傷それ自体を内容とするものではない。また、動画を拡散したユーザーの多くは、テロ行為を非難する意図でリツイートしており、企業を攻撃しようしたのではないと思われる。

 誹謗中傷を含む投稿をリツイートしたことが名誉毀損に当たるかどうかが争われた裁判でも、リツイートが誹謗中傷に賛同する意図で行われたのかどうかが争点の一つとなることが多い。少なくとも、積極的な害意が認められない限り、名誉毀損にあたると判断される可能性は低いだろう。

 また、動画の拡散が結果として企業のイメージダウンに繋がる可能性があるとしても、動画をリツイートしたユーザーの多くが企業のイメージダウンを意図して行ったのではなく、業務を積極的に妨害したと判断される可能性も低いだろう。

やはり〝悪ふざけ〟動画の扱いは注意

 とはいっても、動画を面白半分でリツイートしたユーザーに、まったく問題がないというわけではない。

 今回のケースでも、例えばライバル企業の担当者が、被害にあった企業のイメージをことさらに貶める目的で、迷惑行為の動画を繰り返しリツイートするような行動に出た場合には、それ自体が名誉毀損や業務妨害にあたると判断される可能性はゼロではないだろう。

 そのような極端な場合でなくとも、第三者にとって不利益な内容を含む投稿を、面白半分に拡散するのは道義的に好ましくないだろう。他人の投稿をリツイートする行為それ自体も一種の表現行為であり、責任を伴うものだという認識を持つことは重要だ。

   
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