世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月9日

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 ユーラシア・グループ代表のIan Bremmerが、6月11日付FT紙掲載の論説で、コミュニケーション革命は国家に対する個人の力を相対的に高めたが、国家は、ビッグデータの利用によってそれを逆転させることができるかもしれない、と論じています。

 すなわち、一世代前ならば、独裁者は、まだ情報を自国内でコントロールし、市民がお互いに、あるいは外部の世界に情報伝達をする能力を制限することを、望むことができた。

 今日では、人々は、かつて無かったほど、自分の考えを国境を超えて伝達し互いに繋がることのできる機器を持っている。衛星テレビ、カメラ付き携帯電話、Facebook、YouTube、Twitterが、個人に力を与えている。

 中国は、まだ、インターネット通信をモニターし、フィルターするシステム“great firewall”を使っているが、中国におけるオンラインでの会話は、北京の管理能力を超えて急速に増えている。ロシア、サウジ、イランの当局は、検閲をしようとしているが、政治的内容を含んだメッセージが、もっぱら、体制が運営するラジオ局やテレビ局から放送されていた時代に戻ることはできない。

 情報伝達の管理は、必ずしも検閲だけに頼る必要はない、ということに国家は気付き始めている。情報の流れを利用する方が、ブロックするよりも効果的である。政府は、自らを防御側から攻撃側にかえてくれる「データ革命」をもって、コミュニケーション技術における革命に対抗しつつある。

 世界中の電子メール、オンライン検索および購入によって作り出されるデータとコンテンツ、あらゆる文書やツイートからの電子的送信記録は、リアルタイムで集めることができる。そうしたデータにアクセスでき、それを利用できる者は、何らかの有益なものを得てきた。

 我々がオンライン技術を利用すると、我々が誰であるか、何を考えているか、何を望んでいるかが明らかになってしまう。我々を消費者として扱う者に多くのデータを提供することは、プライバシーを損なうことになり得る。

 今や、ビッグデータは、洗練された政治キャンペーンの重要な要素となっている。それは、両陣営が潜在的投票者を特定するのにビッグデータを用いた、2012年の米大統領選が証明している通りである。

 しかし、情報が国家に到達することは、別次元の問題となる。

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