WEDGE REPORT

2013年7月22日

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本間正義 (ほんま・まさよし)

東京大学大学院農学生命科学研究科教授

東京大学大学院農学系研究科修士課程修了、博士課程単位修得退学。米アイオワ州立大学大学院経済学研究科博士課程修了。成蹊大学経済学部教授等を経て、2003年より現職。著書に『現代日本農業の政策過程』(慶應義塾大学出版会)など。

 1つは、成長戦略で議論されているアベノミクス「経済特区」を農業分野でも活用することだ。

 農地の集積・大規模化と農業投資を重点的に行う地域を特定し、農地法など現在の農地規制から適用除外する地域を設ける。そこでは株式会社による新規参入や経営参加を促す。さらに、農地の自由な権利移動を認め、所有・利用ともに可能とさせる。これにより農地の集積が図られ、高度な技術導入や低コスト・高品質な生産が確立されるモデルとなる。

 もう1つはフードバレー構想だ。

 日本で最も成長している農業分野は園芸作物だが、さらなる発展のため産業クラスター(集積群)を形成する。そこに企業、大学、研究機関を集積させ、相互の連携・競争を引き起こしてイノベーションを創出する。農業に民間産業をさらに深く関与させることにより、技術開発や海外市場のニーズ分析を高度化でき、さらなる輸出拡大につなげられる。

 モデルとなるのはオランダのワーヘニンゲンだ。大学と食品研究所の連携に端を発し、過去20年で、ハイネケンやユニリーバ、ネスレなど国際企業を取り込むまでになった。日本からもキッコーマンや伊藤忠などが参画している。半径30キロ圏内に1500近い企業や研究機関が拠点を持つ。

 日本でもいくつかの地域で構想が上がっているが、設立協議会ができた程度で実現できていない。TPPを機に実施に踏み切っていくべきだ。

 過去の農産品自由化において、野菜や果物は海外との競争に曝されながら、その後日本の農産品の中で最も成長を果たし、日本の農業が競争力を十分持つことを証明してきた。コメはそれ以上にポテンシャルを持ち、輸出分野として成長を見込める。今回のTPP交渉でもコメを聖域扱いして改革の芽を摘むのではなく、「強い農業」に転換させるきっかけとしなければならない。

*関連記事:『成長戦略の柱「農地集積」 熊本に先進事例』

◆WEDGE2013年7月号より

 

 

 

 

 

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