世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年5月15日

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 ドニロン米大統領安全保障担当補佐官が、国際的ルールと規範に基づいた貿易を推進する国際経済政策は、オバマ政権の国家安全保障政策の柱の一つであるとの論説を4月14日付WSJに寄稿し、その中で、日米TPP協議が合意に至ったことを評価しています。

 すなわち、日米は、日本をTPPへの参加に一歩近づける合意に達した。この歓迎すべきニュースは、オバマ大統領の下で、経済外交こそが、米国を国内的に強化し、米国が最も重要な地域においてリードするのに役立つ、ということを示している。

 経済危機が最悪の事態を脱し、イラク戦争が終わり、アフガン戦争が段階的に縮小し、米国は、将来への戦略的投資をする余地を獲得しつつある。オバマ政権二期目が始まると、米国は、世界の貿易の60%を含む可能性のある、大西洋と太平洋を跨ぐ、二つの貿易イニシアティヴの中心に位置することとなった。二つの海を跨ぐ安全保障同盟が条約上のパートナーを越えて安定をもたらしてきたのと丁度同じように、米国の今日の経済外交は、貿易と成長を可能にしてくれるような国際的ルールと規範を強化し、グローバルな繁栄を増進することができる。

 まず、米国は、経済的ルールが形作られる途上にある、アジア太平洋地域への経済的関与を深めている。次の5年間、米国外での成長の半分近くが、アジアから来ると期待されており、この地域の国々の選択は、今後長年にわたって、グローバルなシステム全体の性格を形作ることになろう。

 米国の多面的リバランス戦略の経済的な要は、TPPである。このTPP協定は、高い基準、財とサーヴィスの輸出への包括的な市場アクセス、21世紀の貿易問題に関する規則、そして、ルールに基づいた貿易と投資の枠組みの尊重に、加盟国がコミットメントを共有する、ということの上に成り立っている。

 我々は、常にTPPを、地域経済統合のための成長基盤とみなしており、その高い基準を満たす意思があり、またそれが可能な国々を追加することにはオープンである。TPPは、既に、世界でも最も野心的な貿易交渉の一つであった。今や、我々は、日本との二国間協議を完了した。これは、日本のTPP交渉参加への重要なステップである。TPPが、世界第三の経済大国である日本を含めば、年間1.7兆ドルの貿易関係と、共通の経済的価値のための強力な地域的基盤を代表することになる。

 米国は、他の参加国とともに、2013年中にTPP交渉を完了させるべく、全力を挙げている。それは、米韓FTA、米国のAPECフォーラムと東アジアサミットへの参加とともに、米国がアジアに関与し、東アジアにとどまることの、強力な宣言として役立つ。

 我々は、最大にして長期にわたる欧州の貿易パートナーとの紐帯を強めるために、T-TIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)も追求している。

 欧州でもアジアと同様、経済的なことと、戦略的なことが、最終的には密接に結びつく。米欧経済がより緊密に統合すれば、歴史上最も強力な同盟を強化し、グローバルな経済的規範への共通のコミットメントを強調することになろう。

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