世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月6日

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 7月10日付米シンクタンクCSIS(国際戦略研究所)の日本関係のサイトに、Jeffrey W. Hornung米APCSS(アジア太平洋戦略研究所)准教授が寄稿し、安倍総理にとって、選挙に勝つことよりも、その後の政権運営の方が、より困難である、と論じています。

 すなわち、参議院選挙後に安倍総理が直面する課題には、(1)改憲、(2)原発、(3)アベノミクス、(4)自民党がある。

 (1)憲法改正

 改憲は、安倍総理が、第一次安倍内閣でやり遂げられなかった課題である。今回は、衆参両院で過半数を獲得し、時間もあるので、取りかかれそうである。しかし、国民は、必ずしも積極的ではない。改憲項目によっては議論が分かれる。例えば、天皇の地位、集団的自衛への参加、自衛隊の名称変更、人権問題などである。慎重姿勢を取っているのは一般国民のみではない。自民党や与党公明党の中にも、そういう人達がいる。

 改憲の第一歩として、安倍総理は、改正条項の憲法第96条を改正しようとした。衆参両院3分の2による発議を単純過半数にして、改正しやすくするというものである。これには、世論の大半が反対している。が、もし、96条を改正しないことになると、憲法改正は、より遠ざかる。

 安倍総理が、国会の改正手続きをやりやすくすれば、国民は怒るだろうが、国民感情に配慮すれば、国会運営が難しくなる。どちらの選択も、容易なことではない。

 (2)原発問題

 前の民主党政権では、2030年までの原発ゼロを目指して、50基の原発を2基を残して停止したが、安倍総理は、この政策を変更した。原発の再稼働のみならず、原発の新規建設及び原発技術の輸出も検討している。

 しかし、福島第一原発の現実がある中で、日本国民は原発に不安を感じている。原発反対派は、一般国民のみならず、国会内、自民党内にも存在する。

 一方、安倍総理は、原発の再稼働や原発輸出に関して、財界や自民党内からも圧力を受けている。日本のエネルギー不足で、エネルギー輸入が増えるとともに、円安で、その価格が高くなっている。コスト高は経済に負担となるので、経済の安定のために、原発再稼働が望まれている。

 安倍総理にとって、財界と一般国民の双方を満足させるのは至難の業である。

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