世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月7日

 Atlantic Councilのサイバー専門家ジェイソン・ヒーリー(Jason Healey)が、7月3日付National Interest誌ウェブサイトで、米サイバー司令部の将来については、国家安全保障局(NSA)とサイバー司令部との分離、戦闘司令部への格上げ、現状維持などの選択肢があるが、強制支出削減の状況下では、一番コストのかからない、NSAとサイバー司令部の分離または現状維持の可能性が高い、と言っています。

 すなわち、ここ数ヶ月米サイバー司令部がどうなるかにつき多くの推測がなされている。サイバー司令部の将来がどうなるかは、過去の経緯が鍵を与えてくれる。

 米軍部は1991年の湾岸戦争直後にサイバーと情報戦争へ組織的に対処するようになった。1993年に空軍情報戦争センターが設置され、他の軍もこれに倣ったが、米サイバー司令部の真の前身は1998年にペンタゴンがつくった24名からなる共同タスクフォース=コンピューターネットワーク防衛であった。それは2年後に攻撃と防衛の双方の責任を負わされた。しかし2004年に攻撃と防衛は分離され、国家安全保障局(NSA)が攻撃を、防衛情報システム局が防衛を担当することとなった。ところが2009年には米サイバー司令部が設立され、双方は再び統合され、四つ星のAlexander将軍が、サイバー司令部とともに、電波信号の傍受による情報活動を行うNSAの責任者を兼ねることとなった。

 このような歴史は、米サイバー司令部の将来がどうあるべきかの議論に有益である。

 米サイバー司令部の将来についてはいくつかの選択肢がある。

 第1は、NSAとサイバー司令部の分離である。オバマ大統領がNSAの局長がNSAの任務に専念することを望んでいるので、この選択肢はおそらく最も可能性がある。

 第2は、戦闘司令部(Combatant Command)への格上げである。サイバースペースは陸、海、空の領域と全く異なるので、サイバー司令部が戦略司令部の下部組織であるのは正しくないとする。しかし新しい司令部の創設を提唱する者は、米宇宙司令部の前例を考えるべきである。宇宙司令部は宇宙空間を将来の領域と考え、1985年に作られたが、宇宙空間は言われるほど特別なものでも重要なものでもないことが分かり、2002年には廃止された。

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