世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月15日

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 7月15日付WSJ紙社説が、フィリピンのベニグノ・アキノ大統領が「フィリピンの戦略的パートナーは2国しかなく、それは米国と日本である」と述べたことを引用して、中国の脅威を前にしてフィリピンの態度も変わってきており、安定した米比軍事協力の協定が出来ることが望ましい、と主張しています。

 すなわち、南シナ海における中国との領有権紛争は、フィリピンに、軍を再建する気にさせている。さらに注目に値するのは、北京による嫌がらせが、米国および日本との関係を劇的に強化させていることである。

 1991年に、フィリピン政府は、10,000人以上の米国人をスービック海軍基地とクラーク空軍基地から追い出した。米比関係は、その衝撃から、なかなか回復しなかった。フィリピン人の多くが米国に好意的だったが、エリートの間にある植民地支配への憤慨は、米比関係の妨げになり続けた。戦時の日本の残虐さの記憶も同様であった。

 フィリピン人の感情を変えた原因は、中国のタカ派と彼らの南シナ海における好戦的な主張にある。

 フィリピンのVoltaire Gazmin国防相は、フィリピンの苦境について「我々は孤立するのではなく、同盟を作る必要がある。そうしなければ、より大きな力が我々を脅すことになる。」と述べている。人民解放軍は、フィリピンが実効支配している第二トーマス礁を窺っており、昨年は、スカボロー礁を奪った。

 それは、スービックから僅か124マイルのところにあり、米国の艦船が急に歓迎されるようになったのは偶然ではない。米国艦船の訪問は、今年は100回を超える勢いで、2011年の倍である。マニラは、スービックに、米国の軍艦と航空機を駐留させるための70エーカーの施設を準備するために、2億3000ドルを支出する用意がある、と言っている。

 日本との間でも防衛協力は強化されている。小野寺防衛相は、先月マニラを訪問し、離島と領海の防衛に協力することを約束した。また、日本は、フィリピンに、10隻の新しい沿岸警備艇を供与する交渉に入っている。(注:安倍総理訪比で正式決定済み)

 米日の軍の訪問は、より頻繁な演習、訓練、インターオペラビリティ(相互運用性)といった、具体的な利益をもたらした。最も重要なことは、彼らが、北京とフィリピン人に目に見える形で、フィリピン防衛にコミットしていることである。

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