2024年5月20日(月)

2024年米大統領選挙への道

2023年6月20日

「トランプ無罪」と「トランプ有罪」の大統領選挙への影響

 裁判は、24年米大統領選挙期間中に終了しないという見方がある。しかし、仮に選挙期間中に「トランプ無罪」の評決が出た場合、選挙戦にどのような影響を及ぼすのか。

 トランプ前大統領が無罪になると、盛り上がりに欠けているバイデン支持者の士気が一気に高まり、皮肉にも彼らを投票所に向かわせることになる。さらに、無党派層や鍵を握る郊外に住む女性が、トランプ無罪の評決に疑問を持ち、トランプ前大統領に票を投じない可能性がさらに高まる。

 逆に「トランプ有罪」の評決が出れば、無党派層および郊外に住む女性は、有罪の大統領候補に投票しないとみてよい。おそらく、消極的にバイデン大統領を選ぶか、投票所に出向かないだろう。

 ということは、いずれにしても24年米大統領選挙の投開票日である11月5日までに評決が出れば、バイデン大統領に有利に働くと言えそうだ。

 ただ、有罪か無罪かの評決が出るタイミングが極めて重要になってくる。繰り返しになるが、裁判の日程を決定するのはキャノン判事である。となると、同判事は選挙期間中に裁判を終わらせないかもしれない。

トランプが大統領選挙で勝利したら……

 キャノンン判事が裁判を引き延ばし、その間にトランプ前大統領が大統領選挙で勝利したら、同前大統領はどのような行動に出るのだろうか。このケースも考えてみよう。

 大統領に就任すると即座に、トランプ前大統領が司法省を動かして、「トランプ起訴」を取り下げる可能性は否定できない。ただし、トランプ氏はバイデン大統領が独立機関である司法省に介入したと激しく非難している。仮に起訴の取り下げ命令を出せば、トランプ氏こそが司法省に介入したと反発を買うのは必至だ。

 では、トランプ前大統領が第47代大統領に就任して、自分に「恩赦」を出した場合、無党派層と民主党支持者はどのような反応を示すだろうか。もちろん彼らは「自己恩赦」に怒り、トランプ氏は非難を浴びることになる。米国社会の統一はますます困難になるだろう。

 選挙と裁判の交差点に立っているトランプ前大統領は、どちらの方向へ進めば有罪を逃れることができるのか、模索していることだけは確かだ。

   
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