世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月30日

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 7月29日付英Financial Times紙で、David Gardner同紙国際問題編集員は、エジプト軍はモルシ大統領追放で国民の広範な支持を得たのを機会に、権力と特権を維持しようとしているが、米国は軍がエジプトの民主主義への移行に協力するよう、援助を梃子に圧力を加えるべきである、と述べています。

 すなわち、エジプト軍が先般モルシ支持派を武力攻撃し多数の死者を出したことで、軍の正体が明らかになった。エジプトの最高機関である軍は、モルシに反対する多くの国民の支持を受け、軍はかつてはムバラク、最近ではモルシの時のように、権力と特権を断固として維持しようとしている。モルシはナセル以降の60年間の独裁政権を支えてきた軍と手を握ろうとして、憲法で軍の力を拡大したが、その試みは不発に終わった。エジプトの世俗的勢力は、市民ではなく、軍に頼ると言うムスリム同胞団の犯した基本的な誤りを繰り返す恐れがある。その間、治安部隊はエジプト社会の大きな部分を犯罪者扱いし、イスラム主義者を狙撃し、そのメディアを閉鎖し、モルシに濡れ衣を着せようとしているが、これが続けばイスラム主義者を殉教者としてしまうことになる。ムスリム同胞団を地下に追いやれば、テロを煽ることになるのは間違いない。

 米国が、イスラム主義者も含めた民主主義への移行を年13億ドルに上るエジプト軍に対する援助の条件として明示すれば、将軍たちの野心を和らげる一助となるかもしれない。

 エジプトは並外れたエネルギーを動員できることを示したが、街頭での力にふさわしいのは選挙で権力を取ることである。軍は自由な未来への道ではない、と述べています。

 * * *

 今回のモルシ追放で軍の介入が一般国民に広く支持されたことは疑いのない事実です。モルシの独裁的手法に対する国民の批判がそれほど強かったということです。論説は、皮肉なことにモルシは自己の立場を強化すべく、憲法に軍の権限の増大を規定し、軍に頼ろうとしたが、それが裏目に出た、またムスリム同胞団も軍に頼ると言う基本的な誤りを犯した、と言っています。

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