財務省は2023年8月31日、24年度予算の概算要求を締め切り、一般会計の総額は114.4兆円と、3年連続で110兆円を上回り過去最高となった。歳出の抑制を図るためのはずの概算要求がここ10年ほどは増加傾向。当初予算の編成でさらに膨らむことが予想される。なぜ、予算は拡大してしまっているのか。予算編成の過程と概算要求の役割から見ていきたい。
予算ができるまで
そもそも、予算とは「予め算定する」という言葉のとおり、国の歳入と歳出を一会計年度について見積もったものをいう。会計年度は4月に始まり翌年3月に終わるが、新年度が始まった4月~5月頃から、各省庁では翌年度予算の検討が始まる。
6月には、予算編成の方針や時の内閣の重要課題や政策の基本的方向性を示す「経済財政運営と改革の基本方針」(いわゆる骨太の方針)が、首相が議長を務める経済財政諮問会議の議論を踏まえて閣議決定される。この方針を受け、例年7月下旬~8月上旬頃、財務省は概算要求基準(正式名称は「予算の概算要求に当たっての基本的な方針」)を策定し、閣議了解する。
概算要求基準は、国の予算編成に先立って財務省が各省庁にあらかじめ設ける予算要求額の上限を示し、「天井」を意味するシーリングと呼ばれる。そして、8月末までに各省庁は財務省に対して予算の見積りを提出する。
その後、9月からは財務省が各省庁から概算要求についての詳細な説明を受け、具体的な査定作業を進め、予算の中身を固めていく。こうした予算編成作業は、各省庁が与党の有力議員らを巻き込んで、査定当局である財務省と予算配分をめぐる激しい攻防を繰り広げつつ12月まで続く。それと並行し、財政制度等審議会から「予算編成等に関する建議」や政府税制調査会の答申なども示される。
なお、政府は通常、12月上旬に、経済財政諮問会議が11月頃にまとめた「予算編成の基本方針」や「税制改正大綱」を閣議決定し、12月中旬頃に「経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(経済見通し)を閣議決定する。そうした作業結果を財務省が予算原案にまとめて、12月下旬、クリスマスイブ頃に「政府案」として各府省庁に内示する。