WEDGE REPORT

2013年9月26日

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 昨今のゆるキャラブームで全国各地でゆるキャラが誕生しているが、人気のあるゆるキャラができたとしても、必ずしも観光客増加には結びつかない。「くまモン」人気で関連グッズは大きな売り上げを見せているが、関東では熊本に行ってみようという話はほとんど聞かない。

かつての大会参加者をも巻き込む

 観光客を増やしてリピーターにするには、地域住民と交流できる芸術イベントを企画するのが良い。しかも次世代を担う高校生が主役のイベントを。今回、開成高校俳句部顧問の佐藤郁良さんのインタビュー(『10月号ウェッジ本誌』掲載)で、愛媛県松山市で開催される「全国高等学校俳句選手権」=「俳句甲子園」を見に行ってみた。大会は2日間に渡って行われるが、初日、準決勝進出校を決めるまでは、松山市中心部の「大街道商店街」が会場になる。朝10時から夕方18時まで、この日だけで計45試合が行われる。町の人が多く集まる場所だけに、参加校の関係者だけではなく、買い物に訪れた人など、多くの人が試合を観戦する。

 そんな大会の下支えをするのが大会主催とNPOと、俳句甲子園に参加したOB、OGたちだ。彼らの存在が分かったのは、大会の前夜祭でのこと。抽選会の会場には、参加する生徒とは別に、俳句甲子園とプリントされたTシャツを来た多くの若者がいた。ここで、かれらが試合の進行をサポートするOB、OGであることが発表された。「日本イベント大賞」にも選ばれた俳句甲子園は16回を迎えたが、人気と継続の秘訣は、住民を巻き込むことはもちろん、かつての大会参加者をも巻き込むところにあるのではないだろうか。

全国からボランティアが集まるワケ

 同じく、写真を軸に人を呼び込む町がある。北海道東川町だ。旭川市に隣接する農村地帯である東川町は1985年に「写真の町」宣言をした。当時、町おこしとして「一村一品運動」が注目される中、それでは特定の業種に偏るとして、多くの住民が関われる芸術を使った町おこしの可能性にかけたのだ。ただ、東川町はそれまで写真とは縁もゆかりもなく、有名な写真家の出身地でもない。この点、俳人正岡子規にあやかって俳句甲子園をはじめた松山市よりも独特だと言える。

 町では地道な取り組みを続け、写真家の表彰・発表の場となる「東川町国際写真フェスティバル」は今年で29年目、全国の高校生が東川町近郊を舞台に撮影を繰り広げる「写真甲子園」は20年目を迎えた。

 これらを支えるのもボランティアスタッフ。地域住民はもちろん、全国の写真愛好家が東川に集まる。道内の人ばかりかと思いきや、多くが関東や関西からで、岡山や沖縄から来る人も。ボランティアなので東川町までの航空費は自腹だ。そこまでして東川町に来る理由は何なのか?

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