世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月17日

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 外交政策論を専門とする、ジョージワシントン大学のノウ教授が、9月18日付ウォールストリート・ジャーナル掲載の論説で、軍事力を軽視して失敗を重ねるオバマ外交を批判し、軍事力が外交交渉を下支えすることの重要性を説いています。

 すなわち、オバマは大統領就任以来、軍事力を外交の下支えに使おうとはしてこなかった。シリア問題に際しては、信じられないほど小規模な軍事攻撃を行うにも議会の承認を求めた挙句、米露合意に落ち着いた。

 かつてフリードリッヒ大王は、「軍事力なき外交は、楽器なき音楽のようなものだ」と述べたが、これは外交交渉の外で軍事力が相手の目標達成を防ぐことを担保していない限り、相手は交渉の中にある平和的選択肢に利益を見出さない、ということを意味している。

 この点において、イランはシリアよりもタチが悪い。イランは西側が外交交渉を続けている間にも、着実に核能力を蓄え、レバノンとシリアのジハディストを支援し、イラク・アフガンにも影響を広げているなど、力を背景に目標を達成している。

 他方で、米国が軍事力行使を検討するのは、外交交渉が失敗したときだけである。米国が外交を強調すること自体は問題ではない。問題は、外交における軍事力の使い方を間違えていることにある。イランやシリアの独裁者は、外交交渉の前あるいはそのさなかにも、軍事力を日常的に国内外で用いている。米国が軍事力の使用を交渉が失敗した後に限れば、独裁者たちは目標を達成するまで、抵抗なく軍事力を使い続けるであろう。

 外交交渉下における軍事力の構築、展開、そして実際の行使には、3つの目的がある。

 第一の目的は、相手に対し、外交交渉の場以外での競争は好ましくない、との警告を与えることにある。レーガンは大規模軍拡を行い、ソ連に「米国と軍拡競争をしても勝ち目がない」と思わせた。

 第二の目的は、相手が外交交渉の外で利益を得ようとするのを妨げることにある。レーガンは、欧州に中距離核を配備し、アフガン・中米の自由の戦士たちを支援することで、ソ連を押し返した。

 そして、第三の目的は、交渉のテーブルで重要な役割を果たすことにある。レーガン政権で言えば、弾道ミサイル攻撃から米国を守るSDI(戦略防衛構想)に着手したことがその例である。

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