「囲い」のない児童自立支援施設
子供たちを「環境に負けない人間」に
育てる(後篇)

茨城学園の挑戦


大元よしき (たいげん・よしき)  ライター

1962年東京生まれ。外資系IT企業からライターに転身。スポーツのほか、歴史関連も執筆中。著書に『あの負けがあってこそ』『命のバトン―自閉症児と個性派不登校児の教室』『1万回の体当たり―タックルマン石塚武生 炎のメッセージ』(以上ウェッジ)、『一緒に見上げた空』(扶桑社)。

ルポ・少年院の子どもたち

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社会に適応出来ない子供たちの自立に向けた教育を行っている、児童自立支援施設・茨城学園。ここで、子供たちはどのように成長していくのだろうか。(前篇から読む方は、こちら

早い段階での保護が重要

児童自立支援施設・茨城学園

 「入所する年齢や時期はまちまちです。小学生で入ってくる子もいますが、中学校2年生の後半から中学校3年生での入所が一番多いです。中2の夏あたりから崩れ始めて、親が困り、学校が困って児童相談所に持ち込まれて、そこで児童相談所が生徒に面接をして、家から離れて茨城学園で勉強してみようかということになります。もう一つは家庭裁判所による審判です。保護処分少年院送致、児童自立支援施設送致、保護観察のうちの児童自立支援施設送致で入ってくるケースもあります」

 「中学2年生半ばから入所してくるケースが多いため、ここを出るのは中学3年生の卒業段階。もしくは進路が決まった段階が多いという。施設の性質上、「外泊した、不良と遊んでいるなど、おかしいと感じたら、もっと早い段階で保護してあげればいいんです。中学3年生に進級するタイミングで元の中学に戻せることも出来るだろうし、もしダメなら戻ってくればいい。そうやって自立を支援していく形に変えられればいいのですが……」

 鈴木洋一副校長は言葉を繋ぐ。

 「親も学校も子供が悪くなりつつあるのに放置しておいて、手に負えなくなってから児童相談所に駆け込んで、茨城学園に……では遅いんですよ。保護するタイミングが遅ければ遅いほど『やっとあいつ茨城学園に行ってくれたよ』とか、『まさかあいつ卒業まで戻ってこないでしょうねぇ』なんていう教師たちの会話になったりするんです。それには学校も保護者も意識を変えてもらい、児童相談所には力を付けてもらわねばなりません。私たちが目指すべきところは『必ず帰るんだからな。いい子になろうな』と言って励まして成長を促すことです。それが今後の課題でしょうね。それには早い段階から保護するということです。しかし現実には中学3年の12月に入ってくるケースもあるんです。そんな短い期間ではいくら指導しても難しい。やはり最低でも半年間、できれば1年半から2年くらいは必要です」

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「ルポ・少年院の子どもたち」

著者

大元よしき(たいげん・よしき)

ライター

1962年東京生まれ。外資系IT企業からライターに転身。スポーツのほか、歴史関連も執筆中。著書に『あの負けがあってこそ』『命のバトン―自閉症児と個性派不登校児の教室』『1万回の体当たり―タックルマン石塚武生 炎のメッセージ』(以上ウェッジ)、『一緒に見上げた空』(扶桑社)。

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