世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年11月11日

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 10月4日付ニューヨーク・タイムズ紙は、オバマ大統領のアジア歴訪中止により、中国の存在が際立ち、米国の同盟国・友好国からは、米国は本当に頼れる存在なのかとの疑問の声が出ている、というJane Perlez同紙北京駐在記者の解説記事を掲載しています。

 すなわち、オバマ大統領がアジア歴訪を中止したことで、習近平主席がスター的存在となった。オバマが幼少期を過ごしたインドネシアでは、習近平は、議会で演説した最初の外国人となった。

 オバマの歴訪中止によって、米国が推進してきた「アジア回帰」は、既に色褪せてはいたが、更に損なわれることになった。

 オバマのシリア介入回避とそれに続く医療改革をめぐる米下院の反乱によって、アジア諸国は、米国の混乱した民主主義に当惑し、もし中国と対立した場合、果たして米国はそれに対抗し得るのか、その意思はあるのかと思い始めている。

 中国は、ますます他国が抵抗し難くなっている経済力をもって、アジアでの競争で、米国より優位に立っている。

 フィリピンでは、「大統領が国内もおさめられないのに、どうして米国は頼れるパートナーになれるのか。軍事的対立が起きた時、米国は本当にフィリピンを援けてくれるのか」との疑問が呈された。

 シンガポールでは、増大する中国の東南アジアへの投資に関して、「単にビジネスの問題ではなく、中国の核心的利益の問題になっている。経済あるところに、必ず戦略が付いてくる。米国も、日本も、充分に対抗し得る経済的影響力を行使していない」と言う声が聞かれる。

 ただそれは、米国が今まで長く有して来たアジアでの地位を直ぐに失うということではない。多くのアジア諸国は、中国の領土への野心に警戒心を有し、南シナ海や東シナ海での中国の領土拡張に対する防衛策として、米国のアジア回帰を歓迎した。更に、日本と韓国に駐留する何万の米軍や太平洋を巡回する米海軍の艦船も、対抗策となった。

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