2024年4月30日(火)

BBC News

2024年4月10日

米ミシガン州の高校で2021年に男子生徒(当時15)が銃を発砲し、4人を死亡させた事件で、同州の裁判所は9日、犯行を止めなかったとして過失致死罪で有罪となった生徒の両親に対し、それぞれ禁錮10~15年の刑を言い渡した。

この事件は、アメリカの学校で子どもが起こした銃撃事件で、両親が過失致死罪で有罪評決を受けた初のケース。

検察は量刑のガイドラインに沿って禁錮7年を勧告したが、それ以上の刑に処すよう求めていた。

父親のジェイムズ・クランブリー被告と母親のジェニファー・クランブリー被告はこの日、数カ月ぶりにそろって出廷した。

両被告は息子イーサン・クランブリー受刑者(仮釈放なしの終身刑で服役中)の犯行について遺憾の意を表した。弁護士は最低限の量刑を求めた。

シェリル・マシューズ判事は、検察の勧告を超える10~15年の刑を言い渡した。量刑について、「抑止力として機能」させるためのもので、犯行を止めるのに両親が失敗したことを反映しているとし、次のように述べた。

「(両親に)超能力は期待できない。今回の有罪評決は親の育て方が悪かったというものではない。暴走列車を止め得た行為についてのものだ」

「チャンスは繰り返し訪れ、どんどん明確になっていた。しかし無視された」

両被告は10年服役すれば仮釈放を申請できる。審査で認められなくても、刑期が15年を超えることはない。

事件は2021年11月30日にミシガン州オックスフォードにあるオックスフォード高校で起きた。生徒4人が死亡、教員1人を含む7人が負傷した。

両被告は当日、息子が描いた不穏な絵について学校で話し合いをもっていたが、途中で切り上げて仕事に行き、息子を家に連れ帰らなかった。

検察は、息子の精神状態が悪化している明らかな兆候があったのに、両被告が気にかけなかったと主張。事件で使われた銃は両被告が息子に買い与えたもので、両被告は適切な保管を怠ったとした。

「まったく反省していない」

この日の公判では、ジェイムズ被告が勾留されている刑務所から主任検事に殺害の脅しをかけたとされる電話の内容を、検察が読み上げた。そして、「まったく反省していない」とした。

同被告の弁護団は、被告は怒りを「発散」し、「敬意に欠ける」言葉を使っただけだと述べた。また、同被告が息子の計画を知っていたという証拠はないと主張した。

ジェイムズ被告は法廷で、事件当時を振り返り、違う行動をとっていればよかったと発言。「彼(息子)に何が起こっていたのか、これから何が起こるのかを知っていたらという私の強い思いは、言葉では表現できない」と述べた。

ジェニファー被告も、被害者家族に向け、後悔の念を語った。

「私は皆さんの許しを請おうとここにいるわけではない。それは手の届かないことだろうと分かっている。(事件による)痛みに対して心からの謝罪を伝えるためにここにいる」

被告弁護団は、今回の事案には判例がなく、息子が殺害した一人ひとりについて両親に責任を負わせるのは不適当だと主張した。

しかし、判事はこれに同意しなかった。

被害者の親たちも証言

この日の法廷では、殺害された生徒の親たちが感情のこもった証言をした。

17歳で亡くなったマディシン・ボールドウィンさんの母親ニコル・ボーソレイユさんは、両被告に向け、「あなたが息子のために銃を購入し、鍵をかけずに放置していたとき、娘が大学に出すエッセイを仕上げるのを手伝っていた」と涙を浮かべながら供述。

「あなたは子育てを優先しなかった」、「そのせいで私は娘を失った」と述べた。

ジャスティン・シリングさん(17)の母親ジル・ソアヴェさんは、「完全に防ぐことのできた」悲劇を食い止めるために「行動しなかった」として、両被告を非難した。

「もし(両被告が)何か、わずかなことでもして、出来事の流れを変えていたらと願わずにいられない」

昨年発表された独立機関による調査では、学校側が事件当日、イーサン受刑者のバックパックの中身を調べずに同受刑者を教室に戻したことを含め、学校のシステムにいくつかの欠陥があったとされた。

これを受け、オックスフォード高校がある学区はそれまでの学校管理と方針を見直し、改善すると約束した。

(英語記事 Ethan Crumbley: Parents of Michigan school gunman sentenced to at least 10 years

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/czrxy19r3zyo


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