全米鉄鋼労組(USW)は反対を強めている。3月18日、USW会長マッコールは、CNBCとのインタビューで、改めて反対を主張した。
「労働協約の署名者や雇用の保証などについて不満がある」という。また、「問題なのは取引主体だ。(組合との間で結ぶ)労働協約の署名者となるのは日鉄ではなく、同社の米子会社となるため(グループの)財務状況が報告されない」、「労働者への利益分配が適切に実施されているか検証しにくくなる恐れがある」、「日本は同盟国であるのは確かだが、経済面ではそうではない。日本は(鉄鋼製品で)ダンピング(不当廉売)をしてきた」と言い、「日本は鉄鋼分野で過剰生産能力を抱えているとの懸念も明らか」にするとともに、「日鉄も含め、日本と中国の製鉄会社が共同企業体(JV)を設けていることを問題視している」とも述べた。
今回買収される予定のUSスチールや米経済の全体にとっての経済的メリット(他の方法では満たされない)が、米国の関係者により十分に理解されていないことに懸念を覚える。3月14日付のウォールストリート・ジャーナル紙社説(「日本製鉄に対する大失敗」)は、日本製鉄の買収を全面的に支持するとともに、バイデンの対応を批判している。これも的を射た社説である。
TikTokを許した米国の問題点
米下院は、3月13日、中国の親会社バイトダンスに対し、6カ月以内にTikTokの議決権株式を売却しなければ、米国でのアプリ販売を禁止するとした法案(「米国民を外国敵対勢力管理アプリケーションから保護する法律」)を超党派で可決した。なお、成立には上院での可決と大統領の署名が必要となる。但し、トランプが法案に反対のため、上院での見通しは不透明だともみられる。
なぜ、米国でここまでTikTokが巨大になるのを許したのか、なぜ米企業で同種のアプリが開発されなかったのか、不思議である。安全保障以前の問題があるようにも思える。