2024年4月30日(火)

BBC News

2024年4月17日

イギリスの下院は16日、2009年1月1日以降に生まれた人が生涯にわたってたばこ製品を買えなくする法案を可決した。

リシ・スーナク首相が主導した「紙たばこ・電子たばこ法案」は、383対67の賛成多数で下院を通過した。首相経験者を含む複数の与党・保守党幹部が反対票を投じた。

施行された場合、イギリスのたばこ規制法は世界で最も厳しい部類のものとなる。

この法案の内容は、ニュージーランドの同様の法律に触発されたと考えられている。同国では2022年、2009年以降に生まれた人への紙巻きたばこの販売を禁止する法案が可決されたが、政権交代で撤廃された経緯がある。

法案成立までには、上院での投票などいくつかの段階が必要だが、今年後半に開かれる見通しの総選挙前に法案が成立する可能性がある。

「依存症に自由はない」と保健相

投票では、リズ・トラス前首相を含む何人かの保守党議員が、個人の自由を制限するとして法案に反対票を投じた。

トラス氏は、この法案は人々を幼児化させる危険性があると下院で述べた。

「人が成長する過程で意思決定ができるようになるまで、彼らを保護することは非常に重要だ。しかし大人を自分自身から守るという考え方は非常に問題だと思う」

閣僚経験者のジェイク・ベリー卿は、ニコチン中毒者のことよりも、「政府が人々に何をすべきかを指示する中毒性」を懸念していると語った。

「私は、良い決断も悪い決断も自由にできる自由な社会に住みたい」

ヴィクトリア・アトキンス保健相は「依存症に自由はない」と、法案を擁護。「たばこのない世代」を作り出すと説明した。

また、「物事を禁止する」ことへの懸念は理解できるとしながらも、 「ニコチンは人々の選択の自由を奪う」ものだと指摘した。

「喫煙者の大半は若いときに喫煙を始め、その4分の3は、もし時間を戻せるなら喫煙を始めなかったと言う」

これに先立ち、英イングランド首席医務官のサー・クリス・ウィッティーは、ひとたびニコチン中毒になると「人々の選択肢は奪われる」と述べた。

「私が駆け出しの外科医だった頃、喫煙によって動脈を損傷し、足を切断しなければならなくなった人々が、病院の外でたばこを吸いながら泣いているのを見たことがある。これは中毒にとらわれてしまった悲劇だ。選択ではない」

販売店に罰金も

イギリスでは喫煙は、予防可能な死因としては最大のものとなっている。長期喫煙者の3分の2がたばこが原因で死亡し、毎年8万人が喫煙関連で死亡している。

また、イギリスではほぼ1分に1人の割合で、心臓病疾患や脳卒中、肺がんなど、喫煙に関連した病気での入院者が出ている。

今回の法案では、フレーバーやパッケージに新たな制限を設けることで、電子たばこの未成年への訴求力を抑えることも目指している。

また、子どもたちに紙たばこやを電子たばを販売した店舗に対し、その場で100ポンドの罰金を科す新たな権限を取引基準監督官に付与する。集められたお金はすべて、さらなる取り締まりに使われる。

イギリスでは18歳未満の喫煙は違法とされているが、統計では5人に1人の子どもが電子たばこを試したことがあるとの調査結果が出ている。

(英語記事 MPs back smoking ban for those born after 2009

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cpegj83798no


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