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2013年11月20日

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佐々木智弘 (ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

 中国共産党18期中央委員会第3回全体会議(18期3中全会)が11月9~12日に開かれた。会議では「改革の全面的深化の重大問題に関する決定」(「決定」)が採択された。「決定」の全文は、会議から4日後の11月16日付『人民日報』に掲載された。

18期3中全会の「決定」は
習近平政権の施政方針

 中央委員会は8512万人の共産党員から選ばれた委員204人と候補委員169人で構成され、全体会議はだいたい1年に1回開かれる共産党の重要会議の1つである。その全体会議のうち、今回の18期3中全会が注目されるのは、昨年11月に習政権が発足してからちょうど1年経った時期に開かれ、ここで採択される「決定」は習政権が自前で作成した施政方針に相当するためである。

 施政方針のポイントは「改革の全面的深化」にあり、60の改革項目を列挙した。2002年11月に発足した胡錦濤政権も、翌2003年10月の17期3中全会で「社会主義市場経済の問題に関する決定」を採択し、42の改革項目を列挙し、大いに期待された。しかし、10年後「この『決定』をまったく実行できなかった」との酷評も見られた。そのことを習が知らないはずがない。18期3中全会開催が11月にずれ込んだのは、習が「決定」策定に慎重に臨んだことを示唆している。

 「改革」はまさに「言うは易し、行うは難し」である。『人民日報』は、会議開催前から「決定」に対する過剰とも言える期待を示す論説や識者の見解を掲載してきた。そして、会議が終わってからも、「決定」を評価する論説、会議精神の学習、貫徹を指示する各機関の会議開催を伝える記事が並んでいる。他方、中には実行の難しさを懸念する論説も見られる。

「改革」実施の障害

 (1)11月12日付:『人民日報』評論部による「足より長い道はない」(「実現不可能なことはない」という意味=佐々木注)と題する論説

多元的な利益構造、複雑な矛盾の衝突、巨大なリスク挑戦に対し、ある人は改革者の決心や勇気を不安に思い、ある人は改革者の立場や態度に懐疑的で、あえて改革しない、改革したくない、改革すべきではないといった言論を散布すらする。

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