医療を変える「現場の力」

2013年12月12日

»著者プロフィール
著者
閉じる

神保康子 (じんぼ・やすこ)

ライター

広告代理店勤務後独立。一般雑誌や看護師向け情報誌等のライター・カメラマンを経て国際医療福祉大学大学院医療福祉ジャーナリズム分野修士課程修了。主に医療、看護分野の取材、執筆、撮影を行う。

 あなたが認知症になったとしたら、その後どんな生活を送りたいだろうか?

 急に問われても、ちょっと想像がつかないかもしれない。「何も分からなくなる」、「何もできなくなる」という負のイメージにとらわれて悲観的になる人もいるだろう。

 しかし、「なるべく早い時期から関わり、生活環境を調整し、不安を取り除いていけば、それまでと同じような生活を送ることができる可能性もある」と、認知症の人への訪問診療の経験も長い精神科医の上野秀樹さんは言う。

 ならば、誰に対してもそんな関わりができるような仕組みを早急に整えることが必要だ。さまざまなアプローチが考えられるが、その一つとして、医療や介護のメンバーからなる「認知症初期集中支援チーム」というものが活動を開始し、期待が寄せられている。2012年に研究事業が行われ、今年から国のモデル事業にもなって全国14カ所で実践を重ねている最中だ。

なぜ“初期”に集中的な
支援が必要なのか?

 「認知症初期集中支援チーム」は、大きく次のような働きをする。

 医療と介護、福祉分野のメンバーが一緒に、認知症が原因と思われることで困っている人のお宅を事前に電話等での情報収集を行ったうえで訪問。そして本人の状態や物理的・人的環境などを確認、評価し、アクションプランを作成。半年間をめどに医師も含むチーム員が必要に応じて訪問で支援をしながら、できる限り住み慣れた環境で暮らし続けるための必要なサービスへとつないでいく。

 「初期集中支援」の初期は、認知症の初期というよりもチームと出会ってからの初期という意味合いが強い。地域には、認知症が進行していても介護サービスも受けておらず、医療にもつながっていない人がいたり、行動・心理症状(※1)などの精神症状で日常生活が困難になっている認知症の人もいるからだ。

 出会いの初期段階で、少しでも早くから集中的に関わり、その後の支援体制をつくっていくことが大きな役目となる。

※1:本人がもともと持っている性格、環境、人間関係などさまざまな要因がからみ合って、うつ状態や妄想のような精神症状や、日常生活への適応を困難にする行動上の問題が起こることがある。これを行動・心理症状と呼ぶこともある。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る