世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年12月9日

 11月9日号の英エコノミスト誌は、日韓の絶え間ないいがみ合いに米国は苛立っているが、両国の関係はさらに悪化しそうだ、と報じています。

 すなわち、米国と同盟関係にある先進的民主主義国で、北朝鮮の核と中国の台頭という共通の戦略的脅威に直面している日韓両国は、当然パートナーとなってしかるべきなのに、過去の影はますます暗さを増し、両国関係は1965年の国交回復以来最悪の状態にある。

 11月1日には、韓国の裁判所が、戦時中、韓国人を強制労働に従事させたとして三菱重工に賠償を命じる判決を下しており、約300の日本企業が強制労働を使ったと韓国が主張していることから、今後、同様のケースが続出する可能性がある。また、韓国は、安倍総理が閣僚の靖国参拝を許し、憲法改正によって日本を正常な国防政策を持つ「普通の国」にするつもりだと非難している。韓国の目には、日本はナショナリズム復活の戦略しかない国に見えるようだ。

 これは、米国の多くの専門家からするとひどく不公平な見方だ。韓国や中国は、日本をあたかも仮釈放された連続殺人犯のように言うが、日本は約70年間ほとんど模範的な世界市民だった。それに、安倍は総理になって以降、靖国参拝を控えている。

 米国としては、当然、日韓両国がもっと協力し、地域の安全保障を維持するため、日本が負担を増やすことを望んでおり、安倍政権もそれを望んでいるが、韓国は抵抗している。

 米国にとって問題は、日本にしても、韓国にしても、不和の直接的コストが耐え難いほど高くはないことだ。韓国の観光はダメージを受けたが、貿易や投資は続いており、北朝鮮問題では日米韓の協力が続いている。

 また、日本の軍事的野心にとっては、米国の激励の方が韓国の反対よりもはるかに重要であり、同様に、韓国の安全保障にとっても、日本との関係よりも米国との絆の方がはるかに重要だ。要するに、米国による安全の保証は、日韓協力を促す圧力とはならず、むしろ日韓の不和を容易にさせる方向に働いている。それに、強力な日米韓関係は、中国に危機感を与え、北朝鮮支援の見直しを促すかもしれないのに、韓国は、中国が南北統一への反感を強めないかと懸念している。

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