いま、なぜ韓国映画なのか
グローバル時代に躍進する秘訣


松谷創一郎 (まつたに・そういちろう)  ライター、リサーチャー

1974年生まれ。商業誌から社会学論文、企業PR誌まで幅広く執筆。国内外各種企業のマーケティングリサーチも手がける。得意分野は、カルチャー全般、流行や社会現象分析、社会調査、映画やマンガ、テレビなどコンテンツビジネスについて。著書に『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの三十年戦争』(原書房/2012年)、『どこか〈問題化〉される若者たち』(共著・羽渕一代編/恒星社厚生閣/2008年)、『文化社会学の視座:のめりこむメディア文化とそこにある日常の文化』(共著・南田勝也・辻泉編/ミネルヴァ書房/2008年)等。

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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2月7日、韓国を代表する映画監督ポン・ジュノの新作が日本で公開される。フランスのバンド・デシネ(コミック)を原作としたSF映画『スノーピアサー』だ。韓国の映画会社を中心に、アメリカとフランスから出資を募って創られた英語ベースの作品で、すでに韓国とフランスでは昨年公開された。

『スノーピアサー』 2014年2月7日(金) TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
©2013 SNOWPIERCER LTD.CO. ALL RIGHTS RESERVED

 この作品は、氷河期の地球を走り続ける列車・スノーピアサーに乗った、生き残った人類の物語だ。しかし先頭車両には富裕層が、後方車両には貧困層が乗っており、貧困層の不満は日に日に高まっていく。物語の舞台は、常に走り続けるこの列車のなかである。

 主演は、『アベンジャーズ』でキャプテン・アメリカを演じたクリス・エヴァンス。助演には、韓国の人気俳優ソン・ガンホ(『殺人の追憶』など)やコ・アソン(『グエムル』)、イギリス人女優のティルダ・スウィントン(『フィクサー』)、オクタヴィア・スペンサー(『ヘルプ』)などが配されており、日本人や中国人、アフリカ人なども登場する多国籍映画となっている。

 その架空の舞台設定は、国際社会における国家間の経済格差のメタファーにも読めるし、新自由主義経済が進展した国家内における格差社会化のメタファーとしても読み取れる。もちろんそれと同時に、閉鎖環境を舞台としたSFサスペンスのエンタテインメントにもなっている。ポン・ジュノは海外でもその実力をいかんなく発揮したのである。

 ポン・ジュノだけではない。実はいま、韓国映画の躍進が著しい。国内でも映画が大いに盛り上がっている。特に昨年2013年は、観客動員数が過去最高の2億1300万人に達した。国内人口が約5000万人であることを考えると、これは驚異的な数字である。

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著者

松谷創一郎(まつたに・そういちろう)

ライター、リサーチャー

1974年生まれ。商業誌から社会学論文、企業PR誌まで幅広く執筆。国内外各種企業のマーケティングリサーチも手がける。得意分野は、カルチャー全般、流行や社会現象分析、社会調査、映画やマンガ、テレビなどコンテンツビジネスについて。著書に『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの三十年戦争』(原書房/2012年)、『どこか〈問題化〉される若者たち』(共著・羽渕一代編/恒星社厚生閣/2008年)、『文化社会学の視座:のめりこむメディア文化とそこにある日常の文化』(共著・南田勝也・辻泉編/ミネルヴァ書房/2008年)等。

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