2月7日、韓国を代表する映画監督ポン・ジュノの新作が日本で公開される。フランスのバンド・デシネ(コミック)を原作としたSF映画『スノーピアサー』だ。韓国の映画会社を中心に、アメリカとフランスから出資を募って創られた英語ベースの作品で、すでに韓国とフランスでは昨年公開された。
『スノーピアサー』 2014年2月7日(金) TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
©2013 SNOWPIERCER LTD.CO. ALL RIGHTS RESERVED
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この作品は、氷河期の地球を走り続ける列車・スノーピアサーに乗った、生き残った人類の物語だ。しかし先頭車両には富裕層が、後方車両には貧困層が乗っており、貧困層の不満は日に日に高まっていく。物語の舞台は、常に走り続けるこの列車のなかである。
主演は、『アベンジャーズ』でキャプテン・アメリカを演じたクリス・エヴァンス。助演には、韓国の人気俳優ソン・ガンホ(『殺人の追憶』など)やコ・アソン(『グエムル』)、イギリス人女優のティルダ・スウィントン(『フィクサー』)、オクタヴィア・スペンサー(『ヘルプ』)などが配されており、日本人や中国人、アフリカ人なども登場する多国籍映画となっている。
その架空の舞台設定は、国際社会における国家間の経済格差のメタファーにも読めるし、新自由主義経済が進展した国家内における格差社会化のメタファーとしても読み取れる。もちろんそれと同時に、閉鎖環境を舞台としたSFサスペンスのエンタテインメントにもなっている。ポン・ジュノは海外でもその実力をいかんなく発揮したのである。
ポン・ジュノだけではない。実はいま、韓国映画の躍進が著しい。国内でも映画が大いに盛り上がっている。特に昨年2013年は、観客動員数が過去最高の2億1300万人に達した。国内人口が約5000万人であることを考えると、これは驚異的な数字である。